インタビュイー:株式会社ACROVE 代表取締役 / 社長執行役員CEO 荒井俊亮様学生時代から開始しているプロテインのEC販売から、コロナ禍を機に沈んだ社会の中を良くしていきたいと事業規模の拡大を決意。特殊な社会状況と相応しいタイミングを見逃さずに、目覚ましい速度で成長を続けてきたACROVEと荒井氏。後編では、荒井氏がACROVEに描く自社の理想的な在り方、そして「100年以上続く、令和を代表する企業」に向けて、今後の歩む道のりについて伺っていく。高い視座を保つ原動力と、それに集う仲間これからもBtoBとBtoCを問わず、自社のバランスシートと事業シナジーのレバレッジを効かせて、加速度的にロールアップを進めていくと語る荒井氏。その背景には、今後の日本経済に覚える危機感と意気込みがある。そう考える背景と、高い視座を持ち続けられる原動力について伺った。荒井氏:孫さん(ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役会長兼社長執行役員)とか三木谷さん(楽天グループ株式会社 代表取締役会長兼社長 最高執行役員)といった日本を代表される経営者の方々がご引退された次に、誰がその役割をやるのかと考えています。日本を代表するような事業をどんどん仕込まないと、日本国内の経済力はどんどん落ちて行ってしまう。その仕込みを行っていき、日本を代表するような企業を目指せる位置にまずはしっかり入ろうということを意識しています。何故そういう考えに至ったのかですが、本当に誰かのためになりたいっていうのが一番あります。幼いころ、ずっと体が弱くて、入院していた時期がありました。1歳とか2歳とかなので記憶はないですが。生命の危機があったと考えると、ある意味2回目の人生を歩んでいるような、挑戦して失うものはないようなそんな感覚があります。だからこそ、せっかく生きているのであれば、生きていることをしっかりと示せるようなことをしたいなとある時から考えています。何かの道を究めていきたいという強く思いますね。駅伝も極めたいと思うようになった一つで、高校生の時に日本一にもなれました。資本主義の社会において何を極めるかというとやっぱりビジネスの世界で一つ極めたいと思いつきました。令和を代表するような企業を目指すにあたって、それを共に目指す仲間は不可欠だ。様々な事業に進出するにあたって、どうやってそんな仲間を見つけて率いていくのかを伺った。荒井氏:今こうやってスピード感を持って様々な事業を進めていけているのは共に事業を推進してくれる仲間がいるからです。周りに恵まれていると感じます。恵まれているのは、無理に仲間を集めようと思わないことが秘訣かもしれないです。まずは、社長自身がしっかりと責任感を持つっていうことじゃないですかね。自分が腹を括っていれば、それに付いてくる人も自ずと生まれる。付いていきたいって思うかどうかは他人の問題なので、社長自身が考えても仕方がない部分はあるのかなと。 でも、そうやって実際に自分に付いてきてくれたら嬉しいですよね。自分1人でやるより100人、1000人、1万人と一緒にやれた方が、より強くなれますし嬉しいので、そのために、まずはその一丁目一番地は自分1人でもやり遂げるという気概は忘れないように常に思っています。「ACROVE」という社名に込められた想い社名である「ACROVE」は「acro(先端・尖っている)」と「grove(果樹園)」を合わせた造語だ。そこに込められた想いを荒井氏の言葉で話していただいた。荒井氏:これまでの会社の歴史等を調べた時に、弊社が目指している「社会の果樹園を創造する。」というモデルじゃないと日本では上手くいかないのではないかと思ったのです。それは何かっていうと、役目を果たした果実(事業)が一個枯れたとしても、それが土に還って肥しとなり、そしてまたその新しい実(事業)をなすという循環です。例えば、アメリカだと1つの会社が1つのビジネスを作り、元のメイン事業や産業を一気に塗り替える傾向が強いです。一時代を築くことはあっても、2代目・3代目、まして100年続くようにと考えて事業展開をする風土ではないのだと思います。ヨーロッパの企業は、創業者の血縁を大切にして、外部を受け入れない傾向があります。日本やアジアはどうかというと、意外と血縁は気にしていなくて、「想い」を受け継ぐということは結構得意だと思うんです。まさに駅伝のように、事業の根幹である想いを繋いでいく。それが、果樹園のように、果実がなり・朽ちても肥料になり・また新たな果実が育つ。それが、アジアの企業の勝ち方だと考えています。「grove」が果樹っていう意味で、「acro」は尖っている、先端という意味です。その先端という部分に、テクノロジーみたいな意味あいと、あとは尖っている人の長所っていう意味を込めています。尖った長所や事業が集まる果樹園のような会社になりたいという想いを込めて社名を「ACROVE」にしました。これからの時代こそ人の長所を生かさないといけない。まさにもうすぐそばにAIが来ていて、AIが出来ることを人が行うというのは、もうそこまで必要なくなります。そうしたら、やっぱりみんなの人間ならではの個性的だったり尖っていたりする長所を生かした方がいいよねって考えています。「100年以上続く大企業」に向けて客観的にみると驚くスピードで躍進を続けているACROVEだが、目指す場所へは「まだまだペースが遅い」と荒井氏は語る。見据える道の先は、常に「100年以上続く企業」に繋がっている。荒井氏:ECロールアップ事業は、まずここからの5年は継続して強化していきます。その先の10年20年はエネルギーもやりますし、金融とかもやりますし、領域を拡大してあらゆることをやっていきます。金融と事業は、結構対になっていると考えていて、 事業が調子悪い時や、未曾有の事態が起きた時、最後に残るのは金融だと思っています。なので、金融事業がない会社は、100年は生きられないと考えています。まずは、金融業の足掛かりとして、ECの各事業と相性の良い保証事業から参入し、徐々に保険業や銀行業等にどんどん広がっていければと考えています。あとは、やっぱりこういう時代にこそエンタメが大切。考え方はメディアに近いのですが、人々の心を掴むものという存在は、やっぱり一番大事ですからね。社内外の人の心を掴むために、エンタメは取り組んでいきたいです。経営は科学だと考えています。ただ、5倍10倍になるのは、運やタイミングもあるので一概に科学ではないと思いますが、売上利益を2倍とかにしますとか赤字になりませんっていうのは、完全に科学だと考えています。自分が引退した後でも続くような100年以上続く企業を目指して、どんどんACROVEを拡大していきたいです。