インタビューイー:キチナングループ株式会社 代表取締役社長 井本健様キチナングループ・井本代表のインタビュー記事は前後編の2回に分けてお届けします。1962年に創業されたキチナングループ株式会社は、西日本/関西を中心に物流事業を主軸に輸送、保管、生産管理、製造請負などをグループ会社と共に幅広いサービスを提供している。創業者である祖父から父へ、そして2020年に現在の代表取締役社長である井本健氏へと、経営のバトンが渡された。積極的なM&Aによる新規事業に挑み、売上は140億円を突破、従業員数も1,100名を抱える企業に成長した。キチナングループの事業内容と、M&Aや共創プログラムをはじめとした新規事業創出の取り組みについて伺った前編に引き続き、後編は物流業界の改革に取り組む井本社長の想いや、新規事業をはじめとする新しい取り組みを実行する上で必要なマインドセットについて話を聞いた。「無から有を生め」の精神で、社内に創造の風を井本社長の祖父や父親の代から積極的に新しい事業に取り組んできたキチナングループ。社内からイノベーションを生み出す企業文化の構築に奔走する井本社長に、新規事業をはじめとする新しい取り組みに挑戦している方々に向けて伝えたいマインドセット等を伺った。井本社長:創業者である私の祖父によって設けられた社訓の中で、私が特に重んじている言葉が「無から有を生め」です。この精神を会社全体で共有し、実践することにより、私や幹部のみに限らず、現場のスタッフからも創造性豊かなアイデアを生み出すことが可能だと信じています。これまでの企業成長は市場の拡大に支えられており、従来のやり方で売上を伸ばせば、優秀な人材を確保できていました。しかし、これからの市場を見据えると、既存の事業モデルのみに依存することはリスクを伴うため、新しい事業や取り組みに何回も挑戦し続けるという姿勢が、地方の企業ほど求められるのではないでしょうか。そのため、「ベンチャーマインド」を導入することは、中小企業にとって重要なことと考えています。一方で地方の中小企業がゼロから自力でベンチャーの風土を築き上げることは一筋縄では行かないことでもあります。もしもそのような課題がある場合、アクセラレータプログラムへ参加しメンターを見つけることは私の経験を振り返っても効率的な方法の一つだと思います。率直なフィードバックをしてくださるメンターがいる環境はとても大切で、私自身、インターンシップを経験させていただいた企業の社長に今も事業に関する相談をする機会があります。新しいことに挑戦する際は、先駆者に聞かないと分からない事が多々ありますね。また、より手軽な方法として、X(旧Twitter)のようなSNSでメンターを探すことも可能です。私自身、SNSのダイレクトメッセージを使って、お話をしてみたい社長さんによくお声がけをしていました(笑)。実際に私が人事業務で困っていた時にメッセージを送らせていただいた方には現在もご支援をいただいているという実体験もあります。SNSでダイレクトメッセージを送ってみるなど、小さな一歩でも良いので、新しいことに挑戦する姿勢を持つことが大切ですね。現場とテクノロジーの融合:井本社長の物流業界変革への挑戦最後に、「積極的に新たな技術を取り入れ、古く思われがちな業界イメージを私たちから変えていく」を社長メッセージとして掲げる井本社長に、今後の新しいチャレンジについて伺った。井本社長:お伝えした通り、業界特有の非効率な現場課題の解決に向けて動いていくというのが私のビジョンです。難易度が高いわりにリターンは少ないですが、物流企業の息子として生まれたことへの強い責任感とやりがいをもってこの課題に向き合っています。現在はM&Aを軸に事業ポートフォリオの拡大と健全なキャッシュフローの構築を図っているフェーズですが、ゆくゆくはこの課題解決に向けてゼロイチベースで新規事業の立ち上げにも挑戦したいと考えております。もちろん、現場の従業員たちは現在の業務に誇りを持ち日々の仕事にあたっているため、オペレーションの効率化を目指すような取り組みに対しては一定のハードルも生じるのではないかと感じています。一方で、現場にこそ効率化のアイデアや新規事業の種が多くあると感じています。社員一丸となってこれらの潜在的な可能性に目を向け続けることで、将来的には自社で立ち上げたサービスの実現が可能だと信じています。インタビュー後記キチナングループの社訓である「無から有を生め」の姿勢を、井本社長から強く感じることができたインタビューでした。プロダクト・ライフサイクルが短くなってきている現代において、企業が新しい事業への挑戦に取り組むことの重要性が叫ばれています。インタビューで挙がっていたようにM&Aでの事業拡大、他企業との共創、ゼロイチでのサービス創出など挑戦の形はフェーズによってさまざまですが、どんな挑戦にもその第一歩には「SNSでDMを送ってメンターを見つける」といったスモールステップがあるという事実にハッとさせられました。このインタビューがこれから新規事業を検討している方、挑戦に足踏みをしている方にとっての後押しになれば幸いです。