インタビューイー:マーキュリープロジェクトオフィス株式会社 代表取締役/NPO法人 Nature Service 代表理事 赤堀哲也様クライアントのクリエイティブ制作を総合的に支援する「フルサービス型の制作会社」として、2001年に創業したマーキュリープロジェクトオフィス株式会社。インターネットに関する総合コンサルティングから広告デザイン、システム開発、映像制作まで多岐にわたるニーズに対応した制作事業に強みを持ち、現在まで170社を超える企業と3,000件を超えるプロジェクトを担ってきた実績を持つ。同社代表の赤堀氏は、事業が軌道に乗る中で従業員の心の健康問題に直面したことをきっかけに、2013年に新規事業としてNPO法人Nature Serviceを立ち上げた。Nature Serviceでは、自然に触れ、癒やされる機会を増やすことで人々が前向きに過ごせる日常を創ることを目的に、キャンプ場事業や自然に囲まれた企業向けのワークスペースを提供している。マーキュリープロジェクトオフィス株式会社代表兼NPO法人Nature Service代表理事を務める赤堀哲也氏に、新規事業にかける想いや今後の展望についてのお話を伺った。地方での新規事業立ち上げで大事なのは、重要な情報を正しく発信すること東京に拠点を構えて事業を行っていた赤堀氏だが、「Nature Service」は地方で立ち上げることとなった。地方での事業立ち上げにあたっては、地域住民との連携や協力が必須となってくる。地元の方々と信頼を築いていくために意識していることを伺った。赤堀氏:メディアを通じて事業や活動についての情報を正確に定期的に発信していくことを心掛けています。事業の立ち上げ当初は、情報発信を積極的に行っていなかったことで誤った認識が独り歩きしてしまい、誤解が生じ地域住民の理解を得られず、思うように事業を推進させられなかったという失敗がありました。現在は、「NATURES.」という自社のブログでの情報発信を通じて「Nature Serviceはどういったサービスを行っているのか」、「なぜ私達はここでキャンプ場をやろうと思っているのか」などについての情報を発信しています。地元の方々にとって私たちは言ってしまえば「よそ者」です。まず私たち自身が「よそ者」という認識を持った上で、透明性と一貫性をもって「よそ者」の考えを積極的に発信することで、事業の理念やビジョンを理解していただき、信頼関係を構築できると考えています。今後も「NATURES.」を通じて、より多くの人々に私たちの取り組みやその価値を伝えていくことで、共感と支持を得ていきたいと考えています。Nature Serviceをきっかけに始まった、更なる新規事業への取り組みNature Serviceの立ち上げを地方で行った赤堀氏。その中で地方の人手不足といった課題に直面した経験がきっかけとなり、現在も新たな事業である「信濃ロボティクスイノベーションズ合同会社」の立ち上げ最中にある。赤堀氏:Nature Serviceの事業を展開していく中でたくさんの地域の方々に協力いただきました。その一方で、やはり地方では都市部と比べ人手不足や技術不足といった問題が多く、地方を盛り上げるにはそれらの課題を真っ先に解決する必要性を痛感しました。そして、この課題を解決したいと考えていた時に、幼い頃から好きだったメカとコンピューターに関する知識を生かせるのではないかと思い立ちました。そこで、2019年に信濃ロボティクスイノベーションズ合同会社を立ち上げ、自動草刈りロボットや自動運転プラットフォームなど、労働力不足を補う技術開発やプロジェクトを「田舎テック」として進めています。これらの技術を通して、地方における人手不足の問題の解消に取り組んでいくため試行錯誤を繰り返している最中です。世界的な人口増加に伴い、国家間での食料確保競争が激化しつつあります。そんな中、日本は長引く経済衰退により食料の購買力が低下しています。その一方で、国内では耕作放棄地が増加の一途をたどり、農業の衰退が深刻な問題となっています。こうした状況を打開するためには、日本の耕作放棄地を再生し、国内の食料生産能力を回復させることが不可欠です。自国の農業を活性化させ、海外からの食料輸入への依存度を下げることで、将来にわたる食料安全保障を確立できると考えられます。そのための有効な手段の一つが、農業支援ロボットの開発と導入です。ロボット技術を積極的に農業分野に応用することで、深刻化する農業の人手不足問題を解消し、食料生産の効率化と安定化を図ることができるでしょう。日本の一次産業を支える革新的な技術開発に注力し、国内の食料自給率を向上させることが、今後の食料安全保障戦略の要となります。世界的な食料争奪戦が現実味を帯びる中、自国の食料生産基盤を強化し、安定的な食料供給を実現することが、日本の喫緊の課題と言えるでしょう。また、自動運転の技術においては、特殊車両のドライバー不足を解決することで人々の暮らしを安定させたいです。例えば、日本の降雪量が多い地域では除雪車の運転ができる人が不足しており、少人数で過酷な作業にあたった結果、過労死してしまった事件が過去にありました。特殊車両の自動運転技術が今より浸透すれば、ドライバー不足から起こるそういった問題も解決できるはずです。新規事業の立ち上げの鍵常に社会課題と熱心に向き合い、新たな課題解決へ挑戦する赤堀氏。最後に、赤堀氏は新規事業の立ち上げにおいて大切なことについて「課題の自分ごと化と取り組むタイミングの見極め」と語った。赤堀氏:まずは、課題を自分ごと化できる事業領域を選択できているかどうかがすごく重要だと思います。私自身、Nature Serviceや信濃ロボティクスイノベーションズでの事業も、実際に経験した問題を解決するために立ち上げました。課題解決の必要性を真に理解できれば、その事業に情熱を持って取り組むことが可能になります。また、社会で起こる課題にも解決が必要とされる世の中のタイミングがあるので、事業に取り組むタイミングの見極めもすごく重要だと思います。実体験として、マーキュリープロジェクトオフィスでのWeb制作の事業は、まさにインターネットが今後広がっていくというタイミングで立ち上げたことが、事業の成長要因でもあったと感じます。このように、事業領域と課題へ取り組む事業のタイミングを見極め、事業に全力投球することが新規事業の成功の鍵だと思います。インタビュー後記今回のインタビューでは、赤堀代表が直面した課題について赤裸々にお話を伺いました。事業として取り組む課題を自分ごと化して粘り強く進めていく姿勢が、事業を持続させるために不可欠であるということを強く感じました。また、新規事業のアイデアを生み出す際、市場のニーズだけでなく、自分自身のスキルや得意な領域にも目を向けることが新たなアイデアの切り口になるという発見に繋がりました。赤堀氏の地方の課題解決に向けて「田舎テック」に取り組む動きは、これからの地方の人々の暮らし、ひいては日本の暮らしを支えるという点で期待が高まります。