インタビューイー: マーキュリープロジェクトオフィス株式会社 代表取締役/NPO法人 Nature Service 代表理事 赤堀哲也様クライアントのクリエイティブ制作を総合的に支援する「フルサービス型の制作会社」として、2001年に創業したマーキュリープロジェクトオフィス株式会社。インターネットに関する総合コンサルティングから広告デザイン、システム開発、映像制作まで多岐にわたるニーズに対応した制作事業に強みを持ち、現在まで170社を超える企業と3,000件を超えるプロジェクトを担ってきた実績を持つ。同社代表の赤堀氏は、事業が軌道に乗る中で従業員の心の健康問題に直面したことをきっかけに、2013年に新規事業としてNPO法人Nature Serviceを立ち上げた。Nature Serviceでは、自然に触れ、癒やされる機会を増やすことで人々が前向きに過ごせる日常を創ることを目的に、キャンプ場事業や自然に囲まれた企業向けのワークスペースを提供している。マーキュリープロジェクトオフィス株式会社代表兼NPO法人Nature Service代表理事を務める赤堀哲也氏に、新規事業にかける想いや立ち上げ当時のお話を伺った。24歳で脱サラし起業、手探りで始めたWeb制作事業赤堀代表は高校卒業後に就職、24歳で脱サラしてマーキュリープロジェクトオフィスを創業した。当時はITが普及し始めるタイミングだったため、ITバブルの時流に乗りながらWeb制作の事業を皮切りに経営をスタートさせた。その後、同社は映像や各種広告、イベントなど、お客様の多様なニーズに対応する制作会社へと成長していった。はじめに、赤堀氏からマーキュリープロジェクトオフィスの創業経緯についてお話を伺った。赤堀氏:インターネットが日本で普及し始めた1995年頃、当時19歳だった私は「近い将来にウェブサイトなどのインターネットのコンテンツ製作が中小企業や個人でも可能になり、電車の中吊りといった広告一つひとつにWebサイトのURLが掲載されるような時代が来る」と確信をもっていました。その頃の私はちょうど高校を卒業し、社会人として働き始めたタイミングでした。その後、何度かの転職を経た中でWeb制作の仕事に携わったことがきっかけで、当時まだ一般にはほとんど知られていなかったWeb制作を含むIT領域の事業を、若い自分でも立ち上げることができる可能性を感じました。そして、24歳の時に独立してマーキュリープロジェクトオフィス株式会社を立ち上げ、Web制作の受託から事業を始めました。正直、創業当時はWeb制作の知識がまだまだ乏しかったため、仕事を受けては必死で勉強し、受けては必死で勉強するというある意味、綱渡りのような毎日でした。日々、手探りではありましたが、新たな課題に直面するたびに、文字通り必死になってWeb制作の道を切り開いていく、そんなチャレンジを続けていました。新規事業「Nature Service」の立ち上げに至った制作現場での出来事2001年にWeb制作事業を皮切りにマーキュリープロジェクトオフィスを創業した赤堀氏は、その後2013年に新規事業として自然体験を提供するサービスとしてNPO法人「Nature Service」の立ち上げを行った。公共キャンプ場の再生事業を主として行っている同社の立ち上げに至った経緯を伺った。赤堀氏:新規事業である「Nature Service」は、マーキュリーでのある出来事がきっかけでした。創業後、ありがたいことに沢山のお仕事をいただけるようになりましたが、一人ひとりに重い責任がのしかかり、負担が増大していった結果、心を病んでしまう社員が出てしまいました。経営者としてその事実を重く受け止めるとともに、「より従業員がポジティブに楽しく働ける環境を作るにはどうするべきか」を考え、職場環境の改善により一層、努めるようになりました。そんなある時、私が趣味で行っていたアウトドア活動がメンタルヘルスケアに役立つのではないかという話が社員との会話で話題に上がり、従来の産業医による訪問やカウンセリング以外のアプローチとして、未病の段階で自然との触れ合いを通じたメンタルケアのプラットフォームを提供するアイデアが生まれました。このアイデアを元に事業として形にしていったのがNature Serviceになります。Nature Serviceが現代社会に届ける価値自然に触れ、癒やされる機会を増やすことで人々が前向きに過ごせる日常を創ることを目的としているNature Serviceの事業。実際にどのような自然体験を提供しているのか伺った。赤堀氏:現在は長野県にある3つの公共キャンプ場の管理・運営に携わっています。このなかには、使われなくなった、または潰れてしまった公共キャンプ場も含まれており、Nature Serviceが事業再生を行っています。キャンプ場のひとつには、自然の中でリモートワークをしながら仕事の合間に観光やリフレッシュを楽しめる法人向け貸し切り型リモートオフィス「信濃町ノマドワークセンター」を併設。森林セラピー®やカヤック、焚き火などいつものオフィスではできない自然体験を通して、社員同士の会話や交流を増やし、チームワークやアイデアが促進する環境を提供しています。このノマドワークセンターも10年間放置されていた建物を私たちがリノベーションの提案をして生まれ変わらせたものです。こうした公共キャンプ地の再生や遊休施設の価値の向上に取り組むことで、持続的にキャンプや仕事ができる環境を作り、企業や個人にもっと自然に触れる機会を提供できると考えています。前編では、マーキュリープロジェクトオフィス株式会社のサービス内容や新規事業である「Nature Service」の立ち上げの経緯とサービス内容について話を伺った。後編では、「Nature Service」の立ち上げ時の困難や赤堀氏の実体験を踏まえた新規事業で意識すべきポイントを伺う。