インタビュイー:ビズメイツ株式会社 代表取締役社長 鈴木 伸明様ビズメイツ株式会社は、「もっと多くのビジネスパーソンが世界で活躍するために」をミッションに掲げ、語学学習を支援する「ランゲージソリューション事業」と、グローバル人材と日本企業をつなぐ「タレントソリューション事業」を展開する企業である。ビジネス特化型のオンライン英会話サービス「Bizmates(ビズメイツ)」では、ビジネス経験を持つトレーナーと独自開発の教材を強みに、コーチングやアプリを組み合わせた学習環境を提供。外国籍ビジネスパーソン向けのオンライン日本語学習サービス「Zipan(ジパン)」を展開するほか、外国籍グローバルタレントと日本企業のマッチングを支援する転職エージェント「G Talent(ジータレント)」を展開し、日本人と外国籍人材の双方がビジネスの場で活躍するための支援へと事業を広げている。代表取締役社長を務める鈴木 伸明氏は、青山学院大学を卒業後、先物取引を行う金融事業会社に入社し、社長直下で経営企画などに携わった。その後、ヤフー株式会社にてモバイル事業の事業計画策定、語学事業を展開するベルリッツ・ジャパン株式会社にて経営企画やWEBマーケティングなどを経験。2012年にビズメイツ株式会社を設立し、代表取締役社長に就任した。2023年には東京証券取引所グロース市場への上場を果たしている。前編では、ビズメイツ株式会社 代表取締役社長 鈴木 伸明氏に、同社が展開する3つのサービスや、鈴木代表が経営に近い立場で事業を動かすことを求めて歩んできたキャリア、東日本大震災をきっかけに生まれた創業への想いについて、お話を伺った。語学学習から人材支援まで。グローバルな活躍を支えるビズメイツの3つのサービスはじめに、同社の事業内容について、お話を伺った。鈴木代表:当社は「もっと多くのビジネスパーソンが世界で活躍するために」をミッションに掲げ、大きく2つの事業を展開しています。1つは語学学習を支援する「ランゲージソリューション事業」、もう1つがグローバル人材と日本企業をつなぐ「タレントソリューション事業」です。ランゲージソリューション事業では、ビジネス特化型のオンライン英会話サービス「Bizmates」と、外国籍ビジネスパーソン向けのオンライン日本語学習サービス「Zipan」を提供しています。「Bizmates」の特徴は、英語を学ぶこと自体ではなく、実際のビジネスの場で成果を出すことを重視している点です。そのため、トレーナーはビジネス経験者に限定し、教材もすべてオリジナルで開発しています。一方オンライン英会話だけでは、自分で学習計画を立て、モチベーションを維持しながら学び続ける難しさがあります。そこで2021年に、日本人のコンサルタントが学習の目的や課題を整理し、どのように学習を進めればよいのかをアドバイスするコーチングサービスを立ち上げました。さらに2025年には、学習アプリをリリースしました。インプットはアプリ、アウトプットはフィリピンのトレーナーとのオンラインレッスン、そして学習全体を日本人のコーチングで支える。この3つを組み合わせたハイブリッド型の学習こそが、私たちの考える理想的な英語学習の形です。また「Zipan」では、日本のビジネス現場で使える実践的な日本語から、日本特有のビジネスマナーや文化までを包括的に学ぶことができます。主に法人のお客さまを対象に、外国籍ビジネスパーソンが日本で活躍するためのコミュニケーションスキルの習得を支援しています。もう1つの柱であるタレントソリューション事業では、外国籍グローバルタレントと日本企業のマッチングを支援する転職エージェント「G Talent」を展開しています。この事業の強みは、特にIT・機電分野の外国籍のハイスキルエンジニアに注力していることです。経済産業省の調査では、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると試算されています。日本人だけでこの不足を補うことが難しい中、外国籍のハイスキル人材の日本企業への転職を支援することで、日本企業の採用課題と、日本で活躍したいグローバル人材の双方を支援しています。日本人が世界で活躍するために。そして、外国籍の方が日本で活躍するために。支援する対象やサービスの形は異なりますが、3つのサービスはすべて、「もっと多くのビジネスパーソンが世界で活躍するために」という1つの理念につながっています。「会社をダイレクトに動かしたい」が導いた鈴木代表のキャリア若手の頃から経営者の側で仕事をし、自らの提案で会社が動く手応えを知った鈴木代表。その経験は、以降のキャリアを方向づける原点となった。鈴木代表:私は2000年に青山学院大学を卒業し、最初に入社したのが先物取引を行う金融事業会社でした。当時まだ知名度が低かった先物取引の世界であれば、新しいことに挑戦でき、成長の機会も多いのではないかと考えたことが入社の理由です。入社後の3年ほどは現場を経験し、その後、社長直下で経営企画を担当することになります。事業の数字を分析したり、営業のパフォーマンスを高めるためのインセンティブ制度を設計したりと、若手の頃から経営者に近い場所で仕事ができた経験は、その後のキャリアにも大きな影響を与えています。その後、2007年にヤフー株式会社に転職しました。ちょうどインターネットの主戦場がPCからモバイルへ移り始めていた時期だったため、面接ではモバイルに関わる仕事をしたいとアピールし、モバイル事業部に配属されました。当時のヤフーはPC向け事業が主力で、モバイル事業部は社内でもベンチャー気質の強い部署でした。PC向けサービスをそのままモバイルに移すのではなく、モバイルだからこそ成立する体験を考えていく。インターネットの利用環境そのものが変わっていく時期に、新しいサービスをつくる経験を重ねることができました。一方で、次第にある種の物足りなさも感じるようになりました。最初の会社では、自分の提案を社長に直接ぶつけ、その場で議論し、決まったことが全社の動きにつながっていました。ヤフーでは組織の規模が大きい分、意思決定のプロセスも当然ながら異なります。自分は判断材料をつくるところまでを担い、その先の意思決定は役員が行う。私自身は、「社長の右腕となり、会社をダイレクトに動かせる会社で働きたい」と考えるようになりました。そこで転職エージェントに相談し、紹介されたのが語学事業を展開するベルリッツ・ジャパンでした。当時はベネッセから出向した方が社長に就任したばかりで、その社長とともに事業を動かす人材を探していました。まさに自分がやりたい仕事だと感じ、応募して入社することになりました。ヤフーで私が携わっていたのは、サイト内の回遊性を高め、利用を促すことで広告収益につなげるという、基本的にはインターネット上で完結するビジネスでした。一方ベルリッツ・ジャパンでは、WEBでお客さまを集客した先に、実際に英会話レッスンを提供する「リアルな現場」があります。インターネットと人の双方が介在する事業を、どう成長させていくか。そこに、これまでとは違う面白さを感じていました。なかでも私が可能性を感じたのが、WEBマーケティングの役割です。当時のベルリッツ・ジャパンには、WEBを単なる集客手段としてではなく、事業を拡大する起点として活用できる余地があると考えました。そこで、店舗とWEBを連動させたマーケティングの強化を社長に提案したところ、その推進を任せていただけることになりました。自分で事業成長の糸口を考え、社長と議論し、提案したことを自ら実行していく。ベルリッツ・ジャパンでは、最初の会社で経験したような、経営者に近い立場で事業を動かす仕事をもう一度経験することができました。このとき培った事業の捉え方や動かし方は、その後、自ら事業を立ち上げる際にも生きることになります。価格ではなく、品質で勝負するオンライン英会話へ。震災を機に生まれた、新しい英会話サービスの構想東日本大震災を機に、オンライン学習の可能性と向き合うことになった鈴木代表。既存サービスの「価格」と「品質」の間にあるニーズを捉えたことが、創業への第一歩となった。鈴木代表:私が創業を考えるようになったきっかけは、2011年の東日本大震災でした。当時、ベルリッツ・ジャパンのレッスンは、お客さまに教室へ来ていただくことで成り立っていました。ところが震災によって交通機関が遮断され、多くのお客さまが教室に来られなくなってしまったのです。その結果、その月の売上は半分以下にまで落ち込みました。この出来事を受けて、親会社のベネッセでは、オンライン学習を強化していく方針が打ち出されました。当時マーケティングを担当していた私は、オンラインでどのような新サービスをつくるべきかを企画・検討する立場にありました。通学型のレッスンは、一定の品質を担保できる一方で、受講料が高額になります。より多くの方に利用してもらうためには、海外の講師を活用し、オンラインで価格を抑えるという手法が現実的でした。ただ当時はすでに低価格を売りにしたオンライン英会話が乱立しており、「価格」だけで勝負しても、後発である私たちが差別化することは難しい状況でした。そこで私が着目したのが「品質」でした。ベルリッツで語学教育に携わる中で、講師の経験や教材の質が、学習効果を大きく左右することを実感していました。一方、当時のオンライン英会話は安さを前面に出すものが多く、レッスン品質にはばらつきがありました。このままでは「オンライン英会話=安いけれど、対面より質は劣る」という固定観念が定着してしまうのではないか、と危機感を持っていました。オンラインだからといって品質を落として価格を下げるのではなく、オンラインだからこそ効率化できる部分を活かしながら、学習の質は妥協しない。そうすれば「高品質だが高価格な通学型」と、「手頃だが品質にばらつきのある従来のオンライン型」の間に、新たな選択肢をつくれると考えました。この構想を最初に話したのが、のちに共同創業者となる、ベルリッツ・ジャパンの同僚だった伊藤日加です。ある日の夜、オフィスで伊藤に自分の考えていたサービス構想を話したところ、彼は強く共感してくれました。伊藤にはプロダクトを形にする開発力があり、私にはマーケティングで事業を伸ばした経験がある。お互いの強みを掛け合わせれば、自分たちの手で新しい事業を形にできるはず。そう確信し、2人で独立し、起業することを決めました。前編では、ビズメイツが展開する3つのサービスや、鈴木代表が経営に近い立場で事業を動かすことを求めて歩んできたキャリア、東日本大震災をきっかけに生まれた創業への想いについて、お話を伺いました。後編では、限られた資金と人員で事業を成長させた創業期の経営、上場後に変化していく鈴木代表自身の役割、ミッション軸からパーパス軸へと広がる今後の事業展開について、お話を伺っていきます。鈴木 伸明/2000年、青山学院大学経済学部を卒業後、金融事業会社を経て、2007年ヤフー株式会社に入社。モバイル事業部、R&D統括本部にてKPI分析、事業計画策定などに従事。2009年ベルリッツ・ジャパン株式会社に入社し、社長室アシスタント・マネージャーとして経営企画業務全般を担当。その後同社のWEBマーケティングおよび法人マーケティングの推進リーダーを歴任し、2012年6月、同社を退社。同年7月にビズメイツ株式会社を設立、代表取締役に就任。【会社概要】会社名ビズメイツ株式会社設立2012年7月3日代表取締役社長鈴木 伸明事業内容ランゲージソリューション事業タレントソリューション事業所在地東京都千代田区神田須田町2-19-23 Daiwa秋葉原ビル 11階