インタビュイー:株式会社クラウドドクター 代表取締役社長 赤松敬之様24時間365日、どこにいても最短3分で医師とつながる_。株式会社クラウドドクターが運営するオンライン診療プラットフォーム「CloudDr.(クラウドドクター)」は、そんな未来の通院を、今まさにスマートフォンの中で実現している。スマートフォンひとつで、診察から処方、服薬指導、薬の受け取りまでをオンラインで完結。全国に待機する医師とリアルタイムにつながることで、通院や待ち時間を前提とした従来の医療体験を大きく変えようとしている。「最適な医療を即時に」というコンセプトのもと、忙しい現代人の健康を支える新しい医療インフラを、DXの力で構築しようとしている。同社を率いるのは、現役の医師である赤松敬之氏。少年時代に見た父の姿やコロナ禍での医療現場の体験を通じて、オンライン診療の必要性を強く実感し、現在の事業を立ち上げた。クラウドドクターの構想の根底にあるのは、患者の利便性向上だけではない。医師免許を持ちながらも、育児や介護、地域的制約などによって十分に働けていない医師たちに、新しい働き方を提示するという狙いもある。本編では、株式会社クラウドドクター・代表取締役社長・赤松敬之氏に、同社の事業内容やコロナ禍での事業立ち上げの背景、医師の新しい働き方について、お話を伺った。「病院に行く」だけではない選択肢へ。スマホ1台で完結する最短3分の医療体験はじめに、株式会社クラウドドクターの事業内容について、お話を伺った。赤松代表:株式会社クラウドドクターは、スマートフォンを起点に診察・処方・服薬指導・薬の受け取りまでをオンラインで完結させる医療プラットフォーム「CloudDr.(クラウドドクター)」を提供しています。患者様はアプリを通じて、全国に待機する医師とリアルタイムにつながり、最短3分で診察を受けることができます。本サービスの特徴は、特定の医療機関に依存しない医師シェアリング型のオンライン診療モデルにあります。全国の医師がプラットフォーム上に待機し、その時点で対応可能な医師と患者様を即時にマッチングすることで、従来の外来診療における「待ち時間」という課題を解消しています。診察後は、オンライン服薬指導を経て処方箋が発行され、都市部では配送サービスと連携することで、最短1時間以内に薬を自宅で受け取ることも可能です。通院・待機・薬局訪問といった一連の負担をなくし、医療を日常生活の中に自然に組み込む体験を提供しています。私が理想としているのは、「病院に行く」というこれまでの常識を、根本から変えてしまうことです。これまでの医療は、患者様が自ら移動して待つのが当たり前でしたが、私たちはその構造を完全に逆転させようとしています。スマホを開けば、そこには1,000人以上の医師が待機している巨大なデジタル病院がある。そんな新しい医療インフラを、現在オンライン上に構築しています。一般的に、どんなに大きな病院であっても物理的な建物である以上、一度に診察できる人数には限りがあります。例えば、大学病院に30個の診察室があったとしても、そこに1,000人の患者様が来れば、どうしても長い待ち時間が発生してしまう。しかし、デジタル上の空間であれば、同時に何百、何千もの診察室を稼働させることが可能です。私たちのオンライン診療サービスはクラウド上の診察室が1,000個あるようなものです。だから、患者様を待たせない。この仕組みこそが、医療体験を大きく変えると考えています。私たちの最大の武器である「最短3分」という受診までのスピードは、多くの医師を束ねたシェアリングサービスによって実現しました。特定のクリニックが外来の合間に対応するのではなく、その瞬間に動ける全国の医師と患者様をリアルタイムでマッチングします 。この仕組みがあるからこそ、忙しい合間を縫ってすぐに専門医の診察を受けることができます。 診察後の体験をスムーズにすることにもこだわりました。診察後はすぐに処方箋が発行され、オンライン服薬指導を経て、都市部ではUber Eatsと連携して最短1時間以内に薬を自宅へ届ける体制も整えています。お腹が空いたときにデリバリーで食事を頼む感覚で、医師の診察を受け、必要な薬を手に取れる。こうした圧倒的な利便性こそが、医療を身近にする鍵だと考えているからです。利便性を広める狙いは、単なる時短ではありません。例えば、生活習慣病を抱える人たちが治療を途中でやめてしまう最大の理由は「病院に行くのが面倒だから」というものです。通院のハードルを極限まで下げることで治療からの離脱を防ぎ、重症化を未然に食い止める。患者様の健康を守るだけでなく、長期的には国の医療費削減にもつながると考えています。外来診療のあり方を少しずつ変えていくことで、忙しい毎日の中でも自分の体を大切にできる人を一人でも増やしたい。誰もが無理なく通院できる社会を、当たり前にしていくことを目指しています。コロナ禍での経験と使命感。駅中のクリニックからオンライン診療へオンライン診療へと大きく舵を切るきっかけは、コロナ禍での苦い経験にある。開業直後に街から人影が消えるという予想外の事態に直面しながらも「今、本当に必要とされる医療」を模索し続けた先に、現在の道を見出したという。赤松代表:2020年、大阪・堂島の地下街に、平日は夜21時まで診療する働く人のためのクリニックを開設しました。仕事帰りの忙しい人たちが、わざわざ休みを取らなくても気軽に立ち寄れる「身近な病院」を作りたい。そんな理想を掲げてのスタートでしたが、いざ開院した瞬間にパンデミックの影響が広がり、あれほどにぎやかだった地下街から、嘘のように人が消えてしまいました。最新の設備を整えたクリニックに、患者様が一人も来ない。ガランとした通路を眺めながら、「これから一体どうなってしまうんだろう」という先が見えない強い不安に襲われました。でも、立ち止まっているわけにはいきません。「今、この瞬間に世の中から本当に求められている医療は何だろう」と自分自身に問い続けました。導き出した答えは、PCR検査の徹底と、非対面で診察ができるオンライン診療へのシフトでした。当時はまだ未知のウイルスへの恐怖が強く、感染を恐れて外出できない人や、あまりの体調不良で一歩も動けない人が大勢いらっしゃいました。私たちは一日あたり数千件の検査を受け入れ、深夜までオンライン診療の画面に向かい続けました。特に印象深かったのは、外出が困難な方へお薬と一緒に食料なども届けた際のことです。孤立感の中にいた患者様から「本当に助かりました」と深く感謝された経験を通じて、直接会えなくてもデジタルの力で人を救うことができるのだという実感を強くしました。この実感こそが、現在のクラウドドクターというサービスの揺るぎない土台となっています。患者様と懸命に向き合う中、当時の医療体制が抱えていた構造的な限界も痛感しました。当時は、発熱があるというだけで受診先が見つからず、途方に暮れる患者様が大勢いらっしゃいましたから。社会が不安に包まれているときこそ、医療が最後の砦として機能し、どんなときでも誰かとつながれる安心を提供しなければならない。防護服を着て検査に明け暮れる日々の中で、既存の枠組みだけでは救いきれない「医療の空白」が生まれている現実を目の当たりにし、より強い使命感を覚えました。もちろん、従来の対面診療を中心とした仕組みには、急激な環境変化に対応しきれない難しさがあったのだと思います。だからこそ私は、特定の医療機関の努力に頼るのではなく、テクノロジーの力で誰もが公平に、そして迅速に医師とつながれるインフラを作らなければならないと思いました。既存の仕組みを否定するのではなく、足りない部分をデジタルで補い、より強固な医療体制へとアップデートしていく。コロナ禍の中で抱いた「不条理をなくしたい」という切実な想いこそが、現在の挑戦を支える揺るぎない信念となっています。「医師免許を眠らせない」。子育て中のドクターがスキマ時間で活躍できる仕組み誰一人取り残さない医療インフラを維持するには、何よりも現場で対応する医師の存在が不可欠だ。しかし、特定の場所での勤務に限定される従来の働き方だけでは、24時間365日の対応を支え続けることは難しい。そこで赤松氏が着目したのは、育児や介護といったライフイベントで現場を離れざるを得なかった医師たちの存在だった。赤松代表:実は、日本の医師全体の1〜2割は、何らかの理由で「働きたくても働けない」層だと言われています。中でも出産や育児などのライフイベントを迎えた女性医師の力は、社会にとって非常に大きな可能性を秘めています。せっかく厳しい訓練を積み、高い専門性を身につけた医師が、フルタイムでの当直や勤務ができないという理由だけで現場を離れてしまうのは、社会全体にとってもあまりにも大きな損失です。かつて、ある先生から「子どもがまだ小さいので、短い時間だけ雇ってほしい」という相談を受けたことがありましたが、物理的なクリニック経営の制約から、当時は苦渋の決断でお断りせざるを得ませんでした。目の前には医療を必要としている患者様が大勢いるのに、志のある医師を雇うことができない。オンライン診療というプラットフォームなら、こういった医療現場のジレンマ解決にも役立つのではないかと考えました。自宅にパソコンさえあれば、お子さんが寝ている間の1時間だけログインして診察するといった柔軟な働き方も可能になります。これは医師自身のキャリアを途絶えさせないだけでなく、常に医療の最前線の感覚を保ち続けるための、非常に重要なセーフティーネットになると確信しました。育児中の医師はもちろんのこと、留学中だったり、介護中だったりとさまざまな事情を抱えている医師は少なくありません。そのような皆さんが自身のライフスタイルを守りながら専門性を発揮でき、患者様はいつでもどこでも専門医につながることができる。眠っている医師の力をテクノロジーで引き出すことが、日本の医療をより持続可能なものに変えていく鍵になるとも考えています。前編では、株式会社クラウドドクターの事業モデルやコロナ禍での事業立ち上げの背景、医師の新しい働き方について、お話を伺いました。後編では、少年時代に父の働く姿から紡いだオンライン診療への想いや「ホーム」で患者様と向き合う利点、今後の展望について、お話を伺っていきます。赤松 敬之/2014年:近畿大学医学部卒業2020年:西梅田シティクリニック開業。同年、大阪発となるPCR検査場大阪PCR検査センターを創業し、4年間で200万件の検査・150億円の売上を達成。その後、美容・医薬品・医療人材領域で複数事業を展開。2024年:株式会社クラウドドクターを創業【会社概要】会社名株式会社クラウドドクター設立2024年5月31日代表取締役社長赤松 敬之事業内容オンライン診療プラットフォームの提供労働者派遣事業法に基づく労働者派遣事業及び有料職業紹介事業医療に関するコンサルタント業所在地大阪府大阪市北区梅田2丁目1番22号 野村不動産西梅田ビル12階サイトURLhttps://cloud-dr.jp/