インタビュイー:株式会社日本デザイン 代表取締役 大坪 拓摩様 「日本人の生き方・働き方をより幸せにし、日本をより良い国にする。」このミッションを掲げ、2013年の創業以来、教育を通じた個人のキャリア変革と社会の底上げに取り組んでいるのが、株式会社日本デザインである。完全オンライン型WEBデザインスクール「日本デザインスクール(デザスク)」では、卒業生がすでに5,000名を超え、多くの方々が副業・フリーランス・転職といった形で自分の理想とする働き方を実現している。同社を率いるのが、代表取締役の大坪拓摩氏である。スーパーゼネコンの現場監督を経て、独学でデザインを習得。半年で月収150万円を達成するフリーランスデザイナーとして独立し、2013年に株式会社日本デザインを設立した。その原点にあるのは、「教育を通じて国力と幸福度を上げる」という使命である。前編では、株式会社日本デザイン 代表取締役 大坪 拓摩氏に、同社の事業の独自性や大坪氏が起業に至るまでの原体験、そして「教育で国力と幸福度を上げる」という使命について、お話を伺った。「売れるデザイン」を再現性高く。日本デザインの事業と教育の核 はじめに、株式会社日本デザインの事業内容と強みについて、お話を伺った。大坪代表:当社の事業は、法人向けと個人向けの2本柱で成り立っています。法人向けには、クリエイティブ事業として、デザイン、ライティング、動画、広告、マーケティングといった領域を横断して、企画・立案を担っています。また、クライアントの事業活動を支援するため、マーケティングオートメーションの構築も行っています。 個人向けには、ライティング、映像編集、プログラミングなど、現代社会で必要とされるスキルを提供する「日本デザインスクール(デザスク)」の運営や、起業家から学生まで幅広い層へ向けたセミナー事業があります。スクール事業を始めたきっかけは、私自身が独学でデザインを学び、半年で稼げるようになった経験が原点にあります。自分が一から学んで結果を出せた、その再現性をカリキュラムに落とし込んでいるので、「実践重視」というのが当社の最大の特徴です。座学に時間を割くのではなく、初回から実際に手を動かしてデザイン制作に取り組んでもらいます。フィードバックを受けながら作品を磨き上げていくため、スクールというより、デザイン事務所の新人育成に近いかもしれません。また、当社の特徴は、「売れるデザイン」を再現性高く教えていることです。デザイン業界の課題として、デザイナーとしてのスキルというよりも、ビジネスパーソンとしてのスキルが足りていない方が多いという現状があると思っています。クライアントのニーズを本質的に理解できておらず、的外れなものを納品してしまう。これでは、いくら技術があっても、ビジネスでは評価されません。当社では、本当に稼げるデザイナー、つまりクライアントのニーズに本質的に応えられるデザイナーを実践を通して育成しています。その積み重ねの結果として、卒業生は5,000名を超え、多くの方が副業・フリーランス・転職といった形で、自分の理想とする働き方を実現してくれています。また、オンライン型でありながら、リアルなつながりも大切にしています。月に約100人が集まる定期イベントを開催していますし、半年に一度は500人〜1,000人規模の大型イベントも実施しています。スキルを学ぶだけでなく、同じ志を持つ仲間と出会える。この「学びのコミュニティ」こそが、受講生のモチベーションを支え、挫折を防ぐ最大の仕組みになっていると考えています。「人の幸せを作る」原体験から始まった、独立への道のりスクール事業で実績を重ねる大坪代表のキャリアは、決して一直線ではない。高校でのファッションショー、ゼネコンで感じた違和感、そして、独学での独立への軌跡をたどる。大坪代表:私が「人を喜ばせる仕事」を意識するようになった原体験は、高校時代まで遡ります。私の通っていた高校は少し変わっていて、ストリートダンスとプロレス愛好会の二強で学園祭が成り立っていました。中でもダンスは圧倒的な人気で、この一強をなんとか打ち負かしたい、できれば三すくみのバランスにしたいという気持ちが常にありました。そこに、同級生の女の子から「ファッションショーをやろう」と誘われたのが転機です。面白そうだと思い、女の子たちにメイクや服を選んであげると、こんなに喜ぶのかと驚くくらいの反応が返ってきました。普段の雑談で笑っているレベルとは比べものにならない、本気の喜びっぷり。実際、ファッションショーは見事にストリートダンスに勝利を収め、自分が進む道はこれかもしれないという確かな感触を得るに至りました。そこから「人を喜ばせる仕事」を考えるようになり、最初は美容系の専門学校を見学していました。けれども、ある時ふと、「日本の女性は5,000万人いる。一人ひとり喜ばせていたら、時間がまったく足りない」ことに気づき、より大きな単位で人を幸せにできる領域として、建築学科への進路変更を決断します。建物ではなく街を作るという領域があるらしいという話を耳にして、武蔵野美術大学の建築設計学科で街づくりを学ぶ道を選びました。その後、大学を中退してスーパーゼネコンに入り、現場監督として東京ミッドタウンなどの大型現場に従事します。月400時間という労働量をこなすなかで、二十一、二歳の頃には現場監督として覚えるべきスキルをほぼ全て習得してしまいました。一方で、自分の将来を考えたときに、このまま同じ領域の中だけでキャリアを積み重ねていくことへの限界も感じるようになりました。もっと広い形で、人の幸せに関わる仕事ができないだろうかと考えるようになったのです。街づくりという仕事そのものについても、少しずつ考え方が変わっていきました。当時の私は、街を作ることで人を幸せにできると本気で信じていました。しかし、大型施設の現場に関わるなかで、建物や街が整備されることと、そこに集う人々の心の豊かさや幸せが、必ずしも一直線につながるわけではないのだと感じるようになりました。豊かな空間を作ることは大切である一方で、それだけでは届かない人の幸せがあるのではないか。そうした違和感が、自分の人生の戦略を練り直すきっかけになり、独立という結論に至りました。独立してデザイナーを選んだのは、戦略的な理由からです。単価や参入障壁が高そうという見立てがあり、建設業界の参入障壁の高さに学んだところもあります。スーパーゼネコンしか発注を受けられないあのビジネスモデルの座組みは、すごくいいなと感じていました。そうして未経験から独学でデザインを学び、半年で月150万円を稼ぐまでに至りました。ただ、一人で稼げるようになっても、虚しさが残りました。私はもともと、お祭りやイベントを催すのが好きで、そういう場で誰かが楽しんでくれるのを見るのが嬉しい人間です。一人でいくらお金を稼いでも、それでは満たされないものがあった。だからこそ、会社にしようと決めたのです。目の前の人が本気で喜ぶ姿を見たい。高校時代のあの感触が、ゼネコン時代の違和感を経て、最終的に会社を設立するという決断へとつながっていきました。アンチテーゼとしての使命。「教育で国力と幸福度を上げる」<5月20日発売の大坪代表の新刊2冊>教育事業の先に、大坪代表は何を見据えているのか。その答えは「国力と幸福度を上げる」という、スケールの大きな使命にある。大坪代表:当社は「日本人の生き方・働き方をより幸せにし、日本をより良い国にする」をミッションに掲げています。要するに、国力と幸福度を上げる、ということです。上場や資産の積み上げは、過去の日本で何万人もの人がすでに歩んできた道です。先人たちが踏み固めた轍に、いまさら自分が後追いで足を踏み入れるのなら、生まれてきた意味がないのではないかと考えています。自分の人生をオリジナルにするとしたら何だろうと考えた時に行き着いたのが、自分が生まれた国、つまり「日本」というものでした。考えてみると、自分の国籍は両親よりも接触頻度が高いものです。海外でクラウドファンディングをやれば、出身国を聞かれて毎回「ジャパン」と書きます。親の名前は一度も書いたことがありません。親の顔より見る頻度の高い国がいま少し元気をなくしているのなら、自分にできる範囲で何かしたい」という感覚で、いまの事業に取り組んでいます。そのために何をすべきかというと、日本全体の知的水準を、もう少し底上げしていく必要があると考えています。一人ひとりがより深く考え、より広い視野を持てるようになれば、社会全体の選択肢も自然と豊かになっていく。いま「多様性」という言葉がよく使われますが、その前提として個々の知的な土台がしっかりしていないと、結果的に国全体の力が伸び悩んでしまう側面もあると感じています。実際、日本の国力は伸び悩んだまま35年が経ちました。だからこそ、まずは「学びが楽しい」と感じてもらうことを第一歩にしたいと考えています。勉強しろと言われて素直に勉強する人はなかなかいませんから、楽しさを入口にして、少しずつ広げていきたいです。人類が資本主義という仕組みを選択した以上、資本の世界で力をつけていかなければ、自国の豊かさを守ることは難しい。生産性を上げなければ国全体を豊かにすることは難しいですから、一人ひとりの知的好奇心を、いかに社会的な価値に転換できるかが鍵になると思っています。当社はスクール事業を15年前から続けてきて、これまでに5,000名ほどの方が「大人になってから人生をアップデートする」という流れを作ってこられました。これを、500万人、5,000万人と広げていきたいと考えています。国力を上げる、日本を良くするというと、大層なことに聞こえるかもしれません。けれども、私の中では「そうだ、京都行こう」と同じくらいのノリです。当たり前のことを、当たり前にやる姿勢で、これからも事業に向き合っていきたいと思っています。前編では、同社の事業の独自性や大坪氏が起業に至るまでの原体験、そして「教育で国力と幸福度を上げる」という使命について、お話を伺いました。後編では、累計300以上の福利厚生に込められた組織カルチャーや多様な価値観を肯定するマネジメントの考え方、そして2055年「売上1兆円」に向けた未来図について、お話を伺いました。大坪 拓摩/1986年生まれ。武蔵野美術大学建築設計学科を中退後、大手建設企業の現場監督として東京ミッドタウン計画に従事。2011年、未経験からデザインを独学し、ゼロ日で起業。6ヶ月目に150万円稼ぐフリーランスに。2013年、株式会社日本デザイン設立。マーケティングからクリエイティブをワンストップで提供する受託・プロデュース事業を展開。現在は、教育事業・顧問/受託事業・空間/健康事業・新規事業に事業拡大。【会社概要】会社名株式会社日本デザイン設立2013年代表取締役大坪 拓摩事業内容スクール事業、セミナー事業、クリエイティブ事業、マーケティング事業所在地東京都豊島区東池袋1-35-3 池袋センタービル2F