インタビュイー:株式会社ロジック・ブレイン 代表取締役社長 服部真人様株式会社ロジック・ブレインは、「パーソナリティ分析」を軸に、組織と人の課題解決を支援する福岡発の企業である。同社が開発するのは、社員一人ひとりの個性や強みをAIで分析するHRクラウド「TOiTOi」と、顧客の傾向を分析する営業支援クラウド「TENPiN」。世界で最も研究論文数が多いとされる性格分析理論「ビッグファイブ」と、独自の「ISDロジック」を掛け合わせ、「働くことが楽しいと思える組織の構築」を目指している。代表取締役社長の服部真人氏は、約30年にわたり「人間理解」というテーマを追い続けてきた人物である。かつて「動物占い」の開発に携わり、個性の研究を重ねたのち、その知見を企業向けの分析システムへと昇華させた。占いや心理学が積み上げてきた知見を、AIの発展とともに「再現性のある技術」へと進化させてきた、いわば人間理解のパイオニアである。後編では、株式会社ロジック・ブレイン 代表取締役社長 服部真人氏に、営業支援クラウド「TENPiN」が切り拓く顧客分析やAI時代に人間が担うべき役割、そして同社が見据える「人間理解OS」という構想について、お話を伺った。「動物占い」の統計データを活用した営業支援クラウド社内のコミュニケーション改善で成果を上げるロジック・ブレインは、そのデータ分析の矛先を「顧客」へと向けた。蓄積した膨大な統計データは、営業の現場にどのような変化を起こすのか。服部代表:私たちが手がけているのは、組織の内側に向けた分析だけではありません。営業を支援するCRMクラウド「TENPiN」というサービスも提供しています。「TOiTOi」が働く仲間との関係を扱うものだとすれば、「TENPiN」は、その分析の矛先をお客様へと向けたものです。根底にあるのは、営業をもっと楽しくできないか、という想いです。この「TENPiN」が「TOiTOi」と大きく違うのは、生年月日だけで分析ができるという点です。実は私たちは、もともと「動物占い」を長く手がけてきた経緯があります。その時代に積み上げたデータは、およそ100万人規模にのぼります。これだけの絶対数があると、ある属性の人たちが何を好み、何を嫌うのか、きちんとした傾向として見えてくる。生年月日を入力するだけで、そのお客様がどんなタイプなのかを分析できるのは、この蓄積があるからです。もちろん、占いと聞くと「エビデンスはあるのか」と思われるかもしれません。正直に申し上げれば、こちらは「TOiTOi」のような科学的な裏づけがあるわけではありません。ただ、動物占いに100万人分のデータがあり、「当たっているよね」と感じていただけるところまでは到達できています。よく、何でも分かる占い師という言い方をしますが、本当に分かることは限られているものです。当たっている部分もあれば、当たっていない部分も多い。それでも続いているということは、確かに役立つ部分があるからだと考えています。統計というのは、ある意味で真実を映し出すものです。「TENPiN」では、その分析をもとに、具体的な営業のヒントを示します。たとえば、このお客様にはいつクロージングをかけると確率が高いのか。あるいは、傾向としてどんなタイプなのか。クレーム対応をどうすべきか。どんなメッセージを送ると関係が続くのか。そうしたところまで、タイプに応じてお伝えしています。「TOiTOi」が働くことを楽しくするためのものなら、「TENPiN」は営業を楽しくするためのものです。アプローチは違っても、人を理解することで現場をより良くしたいという想いは、どちらも変わりません。情報処理をAIに任せ、人間は「人間力」に特化するAIの進化は、私たちの仕事や教育のあり方を根本から問い直している。情報処理能力でAIに勝てない時代において、人間が本来担うべき役割とは何なのか。服部代表:いま私たちは、本当にすごい時代にいると感じています。インターネットが登場したとき以上の変化が、いま起きています。こうした過渡期において、人間とAIがそれぞれ何を担うべきなのか、私がいつも向き合っているテーマのひとつです。たとえば教育の現場では、学校の先生は一人で多くの生徒を受け持ち、日々さまざまな業務に追われています。その中で、生徒一人ひとりに合わせて教え方や教材を変えることは、現実にはなかなか難しいものです。しかし、もし子ども一人ひとりの特性を理解したAIが、その子に最適な教材や教える順番、かける時間まで合わせられるとしたら、どうでしょうか。一人ひとりに渡す課題が、全員異なっていてもよいのです。これは、人間の力だけでは実現の難しいことです。情報処理という点では、私たちはもうAIに勝てません。だからこそ、その部分は思い切ってAIに任せてしまう。この子にはどんな教材が合うのか、どんな順序で学ばせるのが最適なのか。そうした個別最適化は、AIが最も得意とするところです。そして、人間にしかできない部分に、人間が集中する。私は、ここをしっかり分けることができれば、AIと人間は本当に共存していけると考えています。私は、学校の先生にはもっと、道徳や人間力を育てる時間に注力していただきたいと思っています。挨拶をすること、約束を守ること、体育で大きな声を出すこと。人と人との関わりの中でしか育たないものがあります。あるいは、これからどんなキャリアを選ぶのか、という相談もそうです。情報の整理はAIに任せられても、一人の人間として、どう生きていくのかを一緒に考える。そこは、人間が向き合うべき領域だと思うのです。これは教育に限った話ではありません。職場における上司と部下の関係も、まったく同じです。情報処理や分析はAIやシステムに任せ、人は人にしかできないことに力を注ぐ。私たちのパーソナリティ分析も、その「人にしかできないこと」を後押しするための道具でありたいと考えています。社会のインフラとなる「人間理解OS」を目指して<就職活動中の大学生を主なターゲットとしたパーソナリティ分析サービス「LB Personality」の診断サイト>「人を理解する」というテーマに向き合い続けるロジック・ブレイン。同社が見据えるのは、単なるツールの提供を超えた、AI時代の新たな社会インフラの構築だった。服部代表:私たちが追究しているのは、「人を理解する」ことです。私たちの展望は、短期の目標から長期の構想まで、いくつかの段階に分かれています。まず今年は、「TOiTOi」を中小企業の皆さまに広く導入していただき、性格情報のデータベースをさらに分厚くしていきたいと考えています。私たちの分析の精度は、データの蓄積によって支えられています。だからこそ、導入を広げ、土台となるデータを増やしていくことが、当面の大きなテーマです。 その次の段階として考えているのが、私たちの分析の仕組みを、社外でも使えるようにすることです。性格情報のデータベースを、外部の企業が自社のシステムに組み込める形で提供していきたいと考えています。私たちは、人事向けのサービスだけにとどまるつもりはありません。たとえば、大学生と企業を結ぶマッチングサービス。学生に60問のビッグファイブに答えていただき、その結果を企業との相性判断に活かす。私たちの分析ロジックがあれば、こうした仕組みもつくれます。そして、長期的に見据えているのが、「人間理解OS」という構想です。人を理解することならロジック・ブレイン。そう言っていただける存在になりたいと考えています。私たちのロジックを、さまざまな機器やサービスに組み込める共通の仕組みとして育てていく。それが「OS」という言葉に込めた意味です。たとえば、いつか各家庭にロボットが置かれる時代が来たとき、人を理解する部分を、私たちのロジックが担えたらと考えています。家族一人ひとりの性格を理解し、誰に、どのように声をかけるのがよいかを判断する。スピードを重視する人には、すぐに反応する。そうした、一人ひとりに合わせた関わりを支えられるはずです。これは家庭に限った話ではありません。教育の現場でも、医療の現場でも、同じことが言えます。一人ひとりの個性が理解され、その人に合ったコミュニケーションが交わされる社会。私たちのパーソナリティ分析が、その土台になれたらと考えています。人を理解することで、組織も、人と人との関わりも、より豊かになっていく。その実現を、これからも追い続けていきます。編集後記今回は、株式会社ロジック・ブレイン 代表取締役社長 服部真人氏に、お話を伺いました。約30年にわたり「人間理解」というテーマを追い続け、統計学を研究することで培った知見を、AIの進化とともに再現性のある技術へと昇華させてきた歩みが、強く印象に残っています。人を選別するのではなく、いかに伸ばすか。情報処理はAIに任せ、人は人にしかできないことに集中する。その一貫した姿勢からは、AIと共存する時代におけるマネジメントの本質を学ばせていただきました。服部真人/1995年ロジック・ブレインエンジンの基礎となる性格情報のデータベースの開発をスタートし、性格分析データベース「ISDロジック」を体系化。1997年4名のチームで「動物占い」を開発。コンテンツとして周知される。2010年~20年一般社団法人ISD個性心理学協会を設立。2000名を超える認定者。会員は1.8万人を超える。産官学連携に取り組む。2015年韓国で開催された「Plat Con-15」で個性と能力を題材にした論文を発表し、「最優秀論文賞」を受賞。2018年「企業の性格情報分析」の分野で世界一を目指すために株式会社ロジック・ブレインを設立。性格情報のデータベースにAIを搭載したロジック・ブレインエンジンを開発。現在250社の企業が導入している。企業の人事業務領域が抱える課題を解決へと導く「TOiTOi」を2020年3月にリリースし、すでに50社の企業が導入している。【会社概要】会社名株式会社ロジック・ブレイン設立2018年7月23日代表取締役社長服部 真人事業内容営業力を最大化するクラウドサービス【TENPiN】の製造・販売・サポート組織のコミュニケーション改善クラウド【TOiTOi】の製造・販売・サポート所在地 福岡本社福岡県福岡市中央区渡辺通5-14-12 南天神ビル3F