インタビュイー:株式会社QQ English 代表取締役 藤岡 頼光様株式会社QQ Englishは、オンライン英会話サービスと留学事業を展開する語学教育企業である。フィリピン・セブ島に大規模な教育拠点を構え、オンラインと留学を融合させた独自の学習モデルを強みとしている。英語を学ぶきっかけづくりから、学習の習慣化、そして実践的な英語力の習得までを一貫して支援していることが特徴だ。また、業界では業務委託が一般的な中、全教師を正社員として採用し、継続的な研修を実施するなど、教師の質にも徹底的にこだわっている。 代表取締役を務める藤岡頼光氏は、1987年にバイク便事業を創業し、長年にわたり経営の第一線を走ってきた。40歳を過ぎてから英語学習を再開し、セブ島での学習体験を通じて「英語が通じる喜び」を実感。その原体験が現在のQQEnglishの事業へとつながっている。 前編では、株式会社QQ English 代表取締役 藤岡頼光氏に、継続した学習を支える同社の事業モデルや英語教育事業へ挑戦することになった原点について、お話を伺った。英語学習を「続けられる」に変える。人とのつながりが生む継続学習モデルオンライン英会話市場が拡大する中で、QQEnglishは「英語を教えること」だけでなく、「学び続けられる仕組みづくり」に力を注いできた。 藤岡代表:当社の事業の特徴は、オンライン英会話と語学留学を融合させた独自の学習モデルです。英語学習は短期間で成果が出るものではありません。だからこそ、学ぶきっかけをつくり、学習を習慣化し、実際に使えるようになるまで継続して支える環境が必要だと考えています。 留学には、英語漬けの環境で集中的に学べる良さがあります。一方で、日本に帰ると学習量が落ちてしまうこともあります。反対に、オンライン英会話は日常の中で続けやすい反面、学習への熱量を保つことが難しい場合もあります。だからこそ私たちは、留学とオンラインを切り離して考えるのではなく、両方をつなげることを大切にしています。セブ島留学で英語に集中し、帰国後もオンラインで学び続ける。この循環をつくることで、英語学習を一時的な体験で終わらせず、継続的なものへと変えていきたいのです。 ただ、学習を続けるうえで大切なのは、仕組みだけではありません。誰に教わるか、誰と学ぶかも非常に重要です。当社では全ての教師を正社員として採用し、100時間以上にも及ぶ継続的な研修を行っています。業界では業務委託が一般的ですが、私たちはあえて採用と育成に投資し、教師全員に国際資格TESOLを取得してもらいます。教師の指導力やコミュニケーション力を高めていくことで、生徒が安心して学べる環境をつくっています。 その結果として、現在は社会人のみならず、多くのお子様にもご利用いただいています。保護者の方々が求めているのは、単に英語を学べる環境ではありません。信頼できる教師がいて、安心して学習を続けられる環境です。教師の質にこだわり続けてきたことが、子ども向け市場で支持をいただいている理由の一つだと思っています。 さらに、教師と受講生の継続的な関係づくりも重視しています。英語学習は知識の習得だけでは続きません。「この先生とまた話したい」「成長した姿を見てもらいたい」という気持ちが、学習を続ける大きな原動力になります。私はこれを「推し活」に近いと感じており、人と人とのつながりが学習を支えているのです。 AIの進化によって、英語学習の方法はこれからさらに変わっていくと思います。もちろん、AIによって効率化できる部分は増えていくでしょう。ただ、学び続ける意欲を支えるのは、最後は人とのつながりだと私は考えています。効率だけを追求するのではなく、人と学ぶ楽しさや、続けたくなる関係性を提供すること。それがQQEnglishの強みであり、これからも大切にしていきたい価値観です。バイク便から英語教育へ。挫折の先で見つけた、新たな挑戦バイク便業界の第一線を走ってきた藤岡代表が、なぜ英語教育という全く異なる領域へ挑戦したのか。その背景には、若き日の挫折、経営者としての出会い、そして「英語が通じる喜び」を取り戻した体験があった。 藤岡代表:私はもともと、英語教育の仕事に取り組んでいたわけではありません。20代でバイク便事業を創業し、長い間その経営に携わってきました。創業当時はバブルの真っただ中でしたが、その後のバブル崩壊によって事業環境は大きく変わりました。多くの会社が苦戦する中、私たちは他社があまり積極的に取り組まなかった定期便の仕事を集めていきました。単発の依頼は景気の影響を受けやすい一方で、定期便は安定した売上につながります。派手さはありませんが、会社を存続させるためには欠かせない仕事でした。もともとバイクが好きだったこともあり、事業を続ける中で、バイクそのものへの関心はさらに深まっていきました。そして新たな挑戦として、バイク販売事業にも取り組むようになります。しかし、当時取り扱っていた国内メーカーとの取引が難しくなり、新たな商材を探す必要に迫られました。そこで出会ったのが、イタリア製のバイクです。縁あって輸入販売を手掛けるようになり、現地メーカーとの交流も始まりました。やがて、イタリアのバイクメーカーの社長とも出会うことになります。その出会いは、私にとって英語学習を始める大きなきっかけでした。通訳を介せば会話はできます。けれども、バイクのことも、経営のことも、本当に伝えたいことは自分の言葉で語りたい、と強く思うようになったのです。 ただ、私には英語に対する苦手意識がありました。高校卒業後、私はアメリカへ渡ったことがあります。大学受験に失敗した時、浪人して再挑戦するよりも、外の世界を見てみたいという気持ちの方が強かったからです。 しかし、現実は想像していたものとは大きく違いました。授業の課題は膨大で、英語で行われる講義についていくことも簡単ではありません。周囲には優秀な学生が多く、私は毎日必死に食らいついていくだけでした。努力を重ねても成果を実感できず、次第に自分には学問の世界で勝負する才能がないのではないかと思うようになりました。結果として、私はアメリカでの挑戦を途中で終え、日本へ帰国しました。アメリカ留学の経験は大きな挫折であり、英語に対する苦手意識として長く残ることになります。 その後は、「勉強ではなくビジネスの世界で勝負しよう」と考えるようになりました。自分の力で事業をつくり、自分の力で稼いでいく。その想いでバイク便事業に打ち込み、気づけば英語からも長く遠ざかっていました。そんな私が、40歳を過ぎてから再び英語の勉強を始めることになります。教材を買ったり、英会話学校へ通ったり、さまざまな方法を試しましたが、思うような成果は出ませんでした。 転機になったのが、セブ島での英語学習です。現地ではマンツーマンレッスンを受けながら、毎日英語に触れる生活を送りました。当時は日本で会社を経営しながら、セブ島への留学に挑戦していました。仕事の都合で日本に戻らなければならないこともあったため、担当の教師にパソコン一式をプレゼントし、セブ島を離れている間もSkypeでレッスンを受けながら学習を継続していました。最初は思うように話せませんでしたが、少しずつ自分の言葉が相手に伝わるようになっていきました。そしてある時、自然に会話ができている自分に気づいたのです。自分の考えが相手に伝わり、相手の話していることが理解できる。その感覚は、これまで味わったことのない喜びでした。 その後、偶然にもオンライン英会話事業を引き継ぐ機会がありました。当時はまだ小さな事業で、生徒数もわずかでした。私自身も英語教育の経験はなく、すべてが手探りの状態です。それでも私は、この学習方法には大きな可能性があると確信していました。 かつての私のように英語へ苦手意識を持つ人でも、環境と仕組み次第で変わることができる。セブ島で取り戻した「英語が通じる喜び」を、かつての自分と同じように英語でつまずいている人にも感じてほしい。その想いが、私を英語教育事業へと導いたのです。前編では、継続した学習を支える同社の事業モデルや英語教育事業へ挑戦することになった原点について、お話を伺いました。後編では、コロナ禍を乗り越える中で生まれた独自の組織づくりや世界市場への挑戦、日本人が世界で活躍する未来への想いについて、お話を伺いました。藤岡 頼光/埼玉県浦和市出身。1987年 バイク便事業「急キュウ便」を創立2000年 オートバイクショップ「コネクティング・ロッド」創立2005年 40歳の時、フィリピン・セブ島留学を経験2009年 QQEnglishを創業。オンライン英会話とセブ島留学事業を開始著書:『40歳を過ぎて英語をはじめるなら、TOEICの勉強は捨てなさい』(ディスカヴァー携書)【会社概要】会社名株式会社QQ English設立昭和62年5月18日代表取締役藤岡 頼光事業内容オンライン英会話事業所在地東京都新宿区西新宿8丁目1-2PMO西新宿 9階