インタビュイー:株式会社QQ English 代表取締役 藤岡 頼光様 株式会社QQ Englishは、オンライン英会話サービスと留学事業を展開する語学教育企業である。フィリピン・セブ島に大規模な教育拠点を構え、オンラインと留学を融合させた独自の学習モデルを強みとしている。英語を学ぶきっかけづくりから、学習の習慣化、そして実践的な英語力の習得までを一貫して支援していることが特徴だ。また、業界では業務委託が一般的な中、全教師を正社員として採用し、継続的な研修を実施するなど、教師の質にも徹底的にこだわっている。 代表取締役を務める藤岡頼光氏は、1987年にバイク便事業を創業し、長年にわたり経営の第一線を走ってきた。40歳を過ぎてから英語学習を再開し、セブ島での学習体験を通じて「英語が通じる喜び」を実感。その原体験が現在のQQEnglishの事業へとつながっている。 後編では、株式会社QQ English 代表取締役 藤岡頼光氏に、コロナ禍を乗り越える中で生まれた独自の組織づくりや世界市場への挑戦、日本人が世界で活躍する未来への想いについて、お話を伺った。コロナ危機が生んだQQEnglishの強さ。社宅が支える教育品質留学事業が大きな影響を受け、多くの教育事業者が先行きの見えない状況に直面したコロナ禍。その危機の中で藤岡代表が下した決断が、QQEnglishの競争力を大きく高めることになった。 藤岡代表:当社にとって、コロナ禍は創業以来最大の危機でした。それまではオンライン英会話と語学留学の両方を展開していましたが、コロナ禍によって海外渡航は大きく制限され、新規留学生の受け入れも難しくなりました。先の見通しが立たない中で、当社も厳しい判断を迫られることになります。その時に私が考えていたのは、「この状況の中で何を残すべきか」ということでした。私たちが提供している価値の中心にあるのは教師です。教師の質が、教育の質を決める。その考えは創業以来変わっていません。だからこそ、どんな状況であっても教師を守ることを最優先に考えました。 そこで整備を進めたのが社宅です。教師が安心して生活し、働き続けられる環境をつくるために、学校の近くに住居を確保しました。単に働く場所を用意するだけでなく、生活の基盤まで支えることで、教師が教育に集中できる環境を整えていったのです。 結果として、社宅という仕組みは当社にとって大きな競争力になりました。オンラインでは早朝や夜間のレッスン需要があり、留学では日中の授業需要があります。教師が近くにいることで、時間帯や受講形態に応じた柔軟な運営が可能になりました。オンラインと留学、それぞれの強みを組み合わせることで、教師にとっても活躍の場が広がり、受講生にとっても安定した学習環境を提供できるようになったのです。 短期的な利益だけを見れば、人件費や設備投資は抑えた方が良いのかもしれません。しかし教育という事業は、人がすべてです。良い教師を採用し、育成し、長く活躍してもらう。そのための環境を整えなければ、本当の意味で良い教育は提供できません。 教師が安心して働ける環境をつくること。成長できる仕組みを整えること。その積み重ねが教育の質につながり、最終的には受講生の満足にもつながっていくからです。 当社が創業以来、教師の正社員採用や育成にこだわってきたのも同じ理由です。コロナ禍で整備した社宅も、その延長線上にあります。いま振り返ると、あの危機の中で人を守る選択をしたからこそ、当社はより強い組織になれたのだと思います。人とのつながりを力に。フィリピンから世界へ広がる英語教育効率化や自動化が進む時代だからこそ、人が人を育てる価値は失われない。藤岡代表はフィリピン人教師たちとの信頼関係を土台に、世界市場への挑戦を続けている。 藤岡代表:私は経営において、人とのつながりほど大切なものはないと思っています。当社には数千人規模の教師がいますが、私は教師たちを単なる「従業員」ではなく、一緒に事業をつくる仲間だと思っています。 だからこそ、当社では教師との距離をできるだけ近く保つことを大切にしています。社宅や学校を中心に、教師同士が日常的に顔を合わせ、学び合える環境があります。困った時には相談でき、悩んでいる人がいれば周りが支える。そうした関係性が、自然と組織の中に育っていくのです。 運動会やイベントも定期的に開催しています。単なる福利厚生ではなく、教師同士が互いを知り、支え合う関係をつくる大切な機会です。効率だけを考えれば不要に見えるかもしれません。しかし、生徒の成長を支える教師自身が前向きに働ける環境でなければ、本当に良い教育は提供できないと思っています。 私はフィリピンで長く事業を続けてきましたが、フィリピンの人たちは本当に温かく、ホスピタリティがあります。相手に寄り添い、明るく励ましながら成長を支える力がある。その力は、英語教育において大きな価値になると感じています。 現在は日本だけでなく、中東や中央アジア、南米など、さまざまな国へサービスを展開しています。英語教育の需要は世界中にあります。そして私たちは、フィリピンという拠点を活かしながら、時差を越えて学習機会を提供できる体制を整えてきました。 その中でも、私にとって特別な意味を持つのがアメリカ市場です。若い頃、私はアメリカで大きな挫折を経験しました。だからこそ、いつかもう一度アメリカで勝負したいという想いがあります。もちろん簡単な市場ではありません。それでも、フィリピンで培ってきた教育ノウハウと優秀な教師たちの力があれば、挑戦する価値は十分にあると思っています。 私たちが信じているのは、人が人を成長させる力です。フィリピン人教師たちの温かさ、ホスピタリティ、そして学習者に寄り添う力は、これからの時代においても大きな価値を持ち続けると思っています。その強みを武器に、私たちはフィリピンから世界へ挑戦していきたいと考えています。世界へ挑む日本人を増やしたい。QQEnglishが目指す英語教育の先藤岡代表:私は、QQEnglishを単なる英語教育企業だとは思っていません。英語を教えることそのものが目的ではなく、その先にある世界へ挑戦するきっかけを提供したいと考えています。英語が話せるようになることで、挑戦できる場所は大きく広がります。だからこそ当社は、日本人が世界へ出ていくための玄関口のような存在でありたいのです。 私は、日本を元気にするのは、世界で活躍する日本人だと思っています。長年海外で事業を続ける中で、日本人が持つ仕事への誠実さや品質へのこだわりは、世界でも評価される力だと感じてきました。日本には優れた技術があり、細部まで丁寧に仕事へ向き合う文化もあります。本来であれば、もっと多くの日本人が世界を舞台に活躍できるはずです。 しかし、可能性を持ちながらも、言葉の壁によって挑戦をためらってしまう人が少なくありません。私はそれが本当にもったいないと思っています。英語は目的ではなく、世界とつながるための道具です。英語を身につけることで、これまで届かなかった場所へ挑戦でき、出会える人も大きく広がります。 そして、世界で経験を積んだ日本人が増えれば、日本にも新しい価値や知見が持ち帰られるはずです。日本で育った人たちが英語を武器に世界へ挑戦し、その経験を再び日本へ還元していく。そうした循環が生まれれば、日本はもっと面白く、もっと活力のある国になると思っています。 その最初の一歩を支えることが、私たちの役割です。だから私は、どれだけ海外で事業を展開していても、日本人であることを忘れたことはありません。日本で育ててもらった人間として、この国に貢献したいという想いがあるからです。世界へ出ることと、日本を大切にすることは矛盾しません。むしろ日本への誇りがあるからこそ、世界の中でも自分らしく挑戦できるのではないかと思っています。 私自身、若い頃に海外へ渡り、挫折も経験しました。しかし、その経験があったからこそ、いまこうして世界を舞台に挑戦することができています。留学でも旅行でも構いません。まずは一度、日本の外にある世界に触れてみてほしい。実際に見て、話して、体験することで、自分が思っている以上に世界は広く、日本にも多くの可能性があることに気づけるはずです。 人生は何歳からでも挑戦できます。そして世界への扉は、誰にでも開かれています。当社はこれからも、一人でも多くの日本人が世界へ羽ばたくための玄関口であり続けたいと思っています。編集後記今回は、株式会社QQ English 代表取締役 藤岡 頼光氏にお話を伺いました。インタビューを通じて印象的だったのは、藤岡氏が一貫して「人の力」を信じ続けていることです。教師の正社員採用や育成への投資、コロナ禍における社宅整備など、その判断の根底には「良い教育は良い人材から生まれる」という信念がありました。また、英語を単なる語学スキルではなく、「世界へ挑戦するための道具」と捉えている点も非常に印象的でした。自身の挫折と再挑戦の経験を原動力に、日本人が世界で活躍する未来を見据える姿から、挑戦することの大切さと可能性を学ばせていただきました。藤岡 頼光/埼玉県浦和市出身。1987年 バイク便事業「急キュウ便」を創立2000年 オートバイクショップ「コネクティング・ロッド」創立2005年 40歳の時、フィリピン・セブ島留学を経験2009年 QQEnglishを創業。オンライン英会話とセブ島留学事業を開始著書:『40歳を過ぎて英語をはじめるなら、TOEICの勉強は捨てなさい』(ディスカヴァー携書)【会社概要】会社名株式会社QQ English設立昭和62年5月18日代表取締役藤岡 頼光事業内容オンライン英会話事業所在地東京都新宿区西新宿8丁目1-2PMO西新宿 9階