インタビュイー:株式会社uloqo 代表取締役 関川 懸介様「採用市場の複合危機」が進行している現代日本。生産年齢人口の減少、賃上げ圧力、生成AIの進化。企業を取り巻く環境は大きく変化し、採用は単なるオペレーションではなく、経営戦略そのものとして再定義されつつある。2016年に創業された株式会社uloqoは、採用課題を「経営・事業・人事の分断」という構造に見出し、上流から再設計する伴走型の支援を通じて、この問題に向き合っている。単なる代行ではなく、採用を事業成長の一部として捉え直すそのアプローチは、高い成果へとつながっている。同社を率いるのは、代表取締役の関川懸介氏である。創業の背景には、人材業界の構造に対する問題意識と自身の適性への違和感という二つの起点があった。創業、資本提携、そして再独立。複数の転機を経てなお、関川代表が貫いているのは、「上流から採用を変える」という一貫した思想である。前編では、株式会社uloqo 代表取締役 関川懸介氏に、同社の事業の特徴や創業の背景、事業立ち上げ時に直面した課題について、お話を伺った。企業の採用問題を上流から解決する。uloqoが描く“戦略型RPO”はじめに、株式会社uloqoの事業内容について、お話を伺った。関川代表:uloqoは2016年4月に設立し、デジタル領域およびハイクラス人材に特化したBtoBの採用支援事業を展開しています。単なる業務代行ではなく、企業の採用課題そのものを解決するためのコンサルティングと実行支援を一体で提供している点が特徴です。企業のDX推進が加速する中で、ITコンサルタントやプロジェクトマネージャー、データサイエンティストといった「デジタル人材」は重要性を増す一方、採用難易度は極めて高まっています。当社はエンジニアに限らず、デジタル領域に関わる人材全体を対象とし、戦略的な採用支援を行っています。当社のアプローチは、「なぜ採用できないのか」「なぜこの採用課題が解決されていないのか」といった構造的な問題の特定から始まります。採用がうまくいかない理由は、「人事の努力不足」や「手法の問題」ではなく、経営・事業・人事が分断されたまま採用を進めている構造そのものにあると考えています。そのため、人事だけでなく、経営や事業責任者、現場も巻き込みながら、採用を「事業成長の根幹」として再設計する伴走型の支援を行っています。経営・事業・人事が連動することで、単なる充足ではなく、理解・納得・定着につながる採用が実現すると考えています。社内にはコンサルティングファーム出身者が多く在籍しており、単にオペレーションを代行するのではなく、課題に対して仮説を立て、解決策を提示し、それを実行まで落とし込むところまで責任を持つ体制を取っています。私たちはこのサービスを「戦略型RPO」と呼んでいます。近年、採用代行サービスは増加していますが、多くはスカウト送信や応募者対応といった業務の代行に留まっています。もちろんそれ自体は重要な機能ではありますが、それだけでは本質的な採用課題の解決にはつながらず、代替可能なサービスになってしまうと考えています。だからこそ当社は、上流の戦略設計から入り込み、企業ごとに異なる採用課題の解決に価値を置いています。現在はエンタープライズ企業からスタートアップ、中小企業まで幅広い企業を支援しており、累計で約500社以上の支援実績があります。現在も常時100社前後の企業様とお取引をさせていただいており、採用を通じて事業成長に貢献するパートナーとして伴走しています。二つの違和感から始まった、uloqoの事業の原点関川代表は、大手人材会社でキャリアをスタートさせ、人材業界に身を置いてきた。その中で、採用支援のあり方と自分自身の適性に違和感を感じるようになった。関川代表:もともと私は人材業界でキャリアを積み、その後、自分でもuloqoを立ち上げて、一貫して採用支援の現場に携わってきました。その中で強く感じるようになったのが、人材業界そのものが抱えている構造的な課題でした。人材業界は、求人媒体を中心に発展してきたマーケットで、「いかに自社のサービスを使ってもらうか」という営業文化が色濃く残っています。営業職の報酬体系もインセンティブ比重が高く、どうしても営業成果が優先されやすい構造です。その結果として、本来向き合うべき採用課題の本質ではなく、「どうすれば自社サービスを売れるのか」という議論に終始してしまうケースが多いと感じていました。採用という領域は人のキャリアや人生に関わる分、再現性のある解決が難しい領域でもあります。本来であれば、「なぜこの採用課題が生まれているのか」を構造的に捉えたうえで、マーケットや事業の前提を踏まえて解決策を設計していく必要がありますが、そこまで踏み込めているプレーヤーは多くありません。このままでは、採用に苦しむ企業がさらに増えていくのではないか。現場にいる中で、そうした危機感が次第に強くなっていきました。また、そうした課題意識を持ちながら仕事をする中で、自分自身の性格とも向き合うようになりました。私はどちらかというと人見知りなタイプで、人材紹介のように求職者一人ひとりと深く関わり続ける仕事に対して、どこか自分の性質とのズレを感じていたんです。その一方で、企業や事業に向き合うBtoBの仕事には強い関心がありました。組織や事業の成長に関わる仕事の方が、自分の特性にも合っていると感じていたんです。業界構造への問題意識と、自分自身の適性。この二つが重なったことで、「自分にしかできない採用支援の形をつくろう」と考えるようになりました。当時は採用代行という領域自体もまだ黎明期でしたが、「この形であれば続けられる」という感覚もあり、現在の事業を立ち上げるに至りました。価格ではなく、価値で選ばれる。uloqoが示す採用支援の本質採用代行が広がる以前、企業にとって採用は「社内で完結するもの」であった。その中で、外部から上流設計に踏み込むuloqoの支援は、価格面でも理解されにくい存在だった。しかし市場環境の変化とともに、その評価軸は変わり始めたという。関川代表:当社が採用代行事業を始めたのは8年前ですが、当時はまだ採用代行自体が今ほど一般的ではありませんでした。「採用は社内で完結するべきもの」という考え方が根強く、外部に委ねること自体にハードルがある市場環境でした。加えて、私たちが提供していたのは単なる業務代行ではなく、採用課題を上流から設計するコンサルティングに近い支援です。そのため一定水準以上の人材を正社員として抱える必要があり、必然的にサービス単価も高くなります。結果として、創業初期は本来の価値に見合わない価格で提供せざるを得ず、厳しい状況が続いていました。転機となったのが、コロナ禍によるリモートワークの普及です。採用活動がオンライン化したことで、外部パートナー活用への心理的ハードルが大きく下がりました。このタイミングから問い合わせが増え、「課題解決のための投資」という観点で評価されるようになり、必要な人材を適切な単価でアサインできる状態へと変わっていきました。現在では、価格設定そのものに大きな難しさを感じることは少なくなっています。一方で、採用代行市場には、フリーランスや非常勤人材を活用して原価を抑えた低価格サービスも増えており、比較される場面は少なくありません。その中で私たちが一貫しているのは、目先の価格ではなく、将来を見据えたコストを説明するということです。シミュレーションの数値を、原価の考え方も含めて透明性高く開示し、「この支援で本当に課題が解決できるのか」という観点で判断していただいています。近年は採用難が一層深刻化しており、「何とか採用課題を解決したい」という企業の危機意識も高まっています。そのため、単純な価格ではなく、課題解決につながるかどうかでサービスを選ぶ企業も増えてきました。特にデジタル領域では、企業側とのリテラシー差もあり、私たちの専門性が評価されやすい場面があります。その強みを起点に、「業務代行」ではなく「課題解決のパートナー」として選ばれる状態をつくってきました。その結果、価格の競争ではなく、課題解決の質で選ばれる関係性が築けてきたのだと思います。前編では、株式会社uloqoの事業の特徴や創業の背景、事業立ち上げ時に直面した課題についてお話を伺いました。後編では、創業初期に下した資本提携の決断や再独立、独自の経営哲学について、お話を伺っていきます。関川懸介/2016年4月、株式会社uloqoを設立。2022年4月、同社を株式会社プロジェクトカンパニーへ売却。2024年6月、MBOを経てプロジェクトカンパニーグループより独立。日系・外資大手企業を中心とした採用コンサルティングサービスの提供に10年以上従事し、これまでの支援社数は500社を超える。採用戦略設計、エージェントマネジメント、採用データ分析などを専門とする。【会社概要】会社名株式会社uloqo設立2016年4月代表取締役関川懸介事業内容採用代行採用コンサルティング面接代行スカウト代行労務代行組織開発コンサルティング評価制度設計支援人事ERP導入支援所在地東京都港区南青山5-10-2 第2九曜ビル202AサイトURLhttps://uloqo.net/