インタビュイー:X Mile株式会社 代表取締役CEO 野呂 寛之様物流、建設、製造といったノンデスク産業は、人々の衣食住を支える社会インフラである。しかしそこには、「働き手の不足」と「労働生産性の低さ」という2つの大きな課題が存在している。この双方の課題の解決に挑んでいるのが、X Mile(クロスマイル)株式会社だ。同社は、働き手の不足に対しては、ノンデスク事業者向けの人材プラットフォーム「クロスワーク」を提供。一方、労働生産性の低さに対しては、業務効率化ソフトウェア・AI「ロジポケ」をはじめとするノンデスク経営プラットフォームを展開している。代表取締役CEOの野呂寛之氏は、大学在学中からスタートアップで働き始め、建設業界のDXスタートアップ、EVスタートアップのベトナム支社における事業立ち上げ、フィンテック企業での取締役など、10年以上にわたりスタートアップの第一線を歩んできた。令和元年にX Mileを創業し、「令和を代表するメガベンチャーを創る」というミッションのもと、日本のインフラ産業の変革に挑んでいる。前編では、X Mile株式会社 代表取締役CEO 野呂寛之氏に、ノンデスク産業の課題解決に挑む同社の事業内容や16歳時の原体験に根ざした日本経済への危機感、1年間のリサーチを経て辿り着いた事業の確立について、お話を伺った。ノンデスクワーカーが主役の世界へ。X Mileが挑むノンデスク産業の二大課題はじめに、X Mile株式会社の事業内容について、お話を伺った。野呂代表:物流、建設、製造といったノンデスク産業は、衣食住を支える社会生活のインフラであり、決して止まることのできない産業です。それにもかかわらず、ノンデスクワーカーの社会的地位は低く、業界が抱える問題やそこでの活躍に光が当てられていないのが現実です。ノンデスク産業において顕在化している問題は、大きく二つあります。一つが担い手の絶対数が不足していること、もう一つが生産性の低さです。当社は、大きな貢献に対して注目を浴びてこなかったノンデスク産業に焦点を定め、双方の課題解決へ向けた取り組みを進めています。「働き手の不足」に対して、当社はノンデスク事業者向けの人材プラットフォーム「クロスワーク」を運営しています。累計120万人以上の求職者が登録し、全国3万社以上のノンデスク事業者に利用されている、日本最大級のノンデスク業界専門の人材プラットフォームです。これまでノンデスク業界では縁故採用が主流でしたが、当社のプラットフォームにより、求職者と企業がスムーズに転職活動・採用活動を進められるようになりました。専門のエージェントやカスタマーサポートが両者を適切にマッチングし、円滑な転職プロセスを実現しています。「労働生産性の低さ」の課題解決に向けては、多様なノンデスク経営プラットフォームを提供しています。主要なものが、物流業界に特化した業務効率化ソフトウェア・AI「ロジポケ」です。「ロジポケ」は、安全教育から労務管理、配車管理、経営管理まで、紙やExcelで煩雑になりがちな業務をデジタル化し、法令遵守や監査対応をサポートするサービスです。業界出身の専門家が、現場に寄り添ったソフトウェアを開発し、アナログ管理からの脱却による業務効率化と、経営資源の最適化を同時に実現しています。私たちが目指すのは、採用支援、業務効率化、経営支援という複数のサービスを組み合わせた360°支援を拡大し、ノンデスク産業全体の経営プラットフォーマーとなることです。テクノロジーの力によってノンデスクワーカーが主役の世界を創出し、消費者の生活の質を向上させ、日本社会に貢献したいと考えています。16歳で抱いた日本への危機感と、スタートアップ創出の志野呂代表の行動原理の根底には、16歳のときに海外で目の当たりにした日本と世界の差がある。 野呂代表:私は16歳のときに一人でアメリカへ渡り、日本の未来について強い危機感を抱くようになりました。日本人の留学生は遊びに来ている人が多い一方、中国や南米など世界各国から来た学生たちは「国に帰ったらこうした事業をやりたい」「自国をもっと良くしたい」といった明確な目標を持ち、真剣に勉強していました。海外に出ると、自国を客観視する場面が訪れます。挑戦よりも周囲との調和が重視される空気や現状に対する危機意識の薄さが日本にはあります。自分の夢を持ちモチベーションの高い異国の若者たちを目の当たりにして、自分のこれまでの生き方や日本の停滞に危機感を覚えました。転機になったのは、大学時代にスタートアップの世界と出会ったことです。日本の停滞への危機感を抱えるなかで、「新しいことに挑戦し、新しい産業をつくっていく」というスタートアップに強く惹かれ、この世界で働きたいと考えたのが入り口でした。私は10年以上前に、創業間もない建設DXのスタートアップへ参画しました。社員は3名のみ、スタートアップという言葉も、いまほど一般的ではない時代です。それでも、優秀な人たちが本気で社会課題の解決に向き合い、新しいサービスを生み出そうとしている姿には、大きな刺激を受けました。その後も、大学を休学しEVスタートアップのベトナム支社における事業立ち上げ、卒業後はフィンテック企業での2番目社員・取締役COOなど、さまざまなスタートアップに携わってきました。一貫していたのは、日本から社会課題を解決するメガベンチャーを生み出すという目的です。30年前は世界の企業価値トップ50位以内に日本企業が32社も入っていた一方、現在は1社のみと危機的な状況を迎えています。令和元年創業の私たちは、日本経済の活力を取り戻すために、新しい産業を生み出し、次世代のリーダーを育て、歴史に残る企業を目指しています。1年間のリサーチと検証を経て辿り着いた事業の確立野呂代表は独立後、全産業のマーケットを徹底的に調べ上げ、数多くの事業仮説を検証した。その先に見出したのが、物流業界という巨大な市場だった。 野呂代表:私はスタートアップ業界で長く働くなかで、「挑戦した人が成功事例を示さなければ、次の挑戦者は生まれない」と感じていました。志ある優秀な人材がスタートアップで成果をあげ、そこからさらに起業家が生まれる。この循環をつくるためには、私自身がそのロールモデルになる必要があると考えたのです。最初から物流業界で起業しようと決めていたわけではありません。むしろ独立直後の1年間は、「どの産業で勝負するべきか」を徹底的に考えていました。医療や介護など、さまざまな日本の社会課題領域を調査し、サービスを立ち上げてはポテンシャルや継続可否を検証する。そうしたリサーチと検証を、インターン生にも手伝ってもらい繰り返していました。経済産業省の産業分類も上から下まで調べ、「本当に大きな社会課題があり、かつ成長余地のある市場はどこなのか」を探していました。そうして辿り着いたのが物流業界の人材支援です。実際に市場を調べていくと、人手不足が極めて深刻である一方、DXも十分に進んでいませんでした。さらに、日本の社会インフラを支える重要な産業でありながら、課題解決に取り組むプレイヤーはまだ限られていました。営業を行い、私は自らドライバーの集客や面談を行って、求職者を企業へ紹介していました。すると上場企業との契約を獲得でき、十分に事業として成立する手応えがありました。「この市場には大きな可能性がある」と確信したのを覚えています。あらゆる市場の可能性を探り、徹底的に検証し続けた結果として、現在のX Mileがあります。創業後の仮説検証の1年間は、いま振り返っても会社の方向性を決定づけた最も重要な時間でした。前編では、ノンデスク産業の課題解決に挑む同社の事業内容や16歳時の原体験に根ざした日本経済への危機感、そして1年間のリサーチを経て辿り着いた事業の確立について、お話を伺いました。後編では、創業から4年間あえて表舞台に立たなかった真意や物流から日本のノンデスク産業全体へと広がる未来構想、次世代へのメッセージについて、お話を伺っていきます。野呂 寛之/北海道出身。国際基督教大学(ICU)卒業。在学中、テラモーターズ株式会社のベトナム支社に駐在し、製造拠点・物流網の構築・販路拡大に従事。その後カンボジア拠点長としてEV三輪車の事業立上げを経験。帰国後、FinTechスタートアップ・株式会社ペイミーに2番目の社員として入社参画、取締役COOに就任。2019年(令和元年)、X Mile株式会社を創業し代表取締役CEOに就任。【会社概要】会社名X Mile株式会社設立年2019年代表取締役CEO野呂 寛之事業内容HRプラットフォーム事業DX・AIプラットフォーム事業経営支援プラットフォーム事業所在地東京都新宿区新宿6-27-30 新宿イーストサイドスクエア W7F