インタビュイー:大和財託株式会社 代表取締役CEO 藤原正明様大和財託株式会社は、「資産価値共創業」を掲げ、不動産と建築領域を活用した事業を展開している。資産価値を共に創る様々なサービスを通じて、お客様に経済的豊かさや心理的豊かさなど、人生の潤いを提供する。さらにその潤いを循環させて、ステークホルダー全員を幸せにすることを使命としている。主な事業は、不動産開発・運用事業、および建築事業である。土地の仕入れから設計・建築、販売、賃貸管理・運用までを自社で一貫して提供し、投資家やオーナーに対して資産価値の最大化を見据えた総合的なソリューションを実現している。また、土地活用事業にも注力しており、デザイン性と収益性を両立した設計・施工を強みに、運用まで見据えた付加価値の高い提案を行っている。さらに、建築機能を生かした事業として、ホテル・旅館の運営や分譲マンションのリノベーション再販などにも事業領域を広げている。金銭的価値だけでなく、安心感や快適さといった情緒的な価値も含めた資産価値の最大化を追求する同社。本稿では、大和財託株式会社・代表取締役CEO・藤原正明氏に、「資産価値共創業」の本質や、起業を決断するまでの道のりについてお話を伺った。価値を潤環させる。資産価値共創業の本質大和財託株式会社が掲げる「資産価値共創業」は、事業領域を示す言葉ではなく、価値の生み方そのものを定義する言葉である。お客様の幸せを起点に、取引先・従業員へと潤いを巡らせ、結果として持続的に価値を積み上げていく。その潤環を意図的に設計した経営思想が、同社の独自性を形づくっている。藤原代表:当社の主な事業は、不動産開発・運用事業と建築事業です。不動産については、不動産投資や賃貸経営に取り組まれるお客様に対して、物件の企画・取得・販売、その後の賃貸管理や運用までを一貫してご提供しています。単に物件を売るのではなく、取得した後にどう運用し、どう価値を高めていくかまでを含めてお手伝いすることを大切にしています。建築事業については、土地オーナー様や不動産事業者様の建築ニーズに対して、企画提案・設計・施工を自社で担っています。建てること自体が目的ではなく、その建物が将来どのように使われ、どのように収益や価値を生み続けていくのかまでを見据えた提案を行っています。また、建築の機能やノウハウを生かした分野として、ホテルや旅館の運営、分譲マンションのリノベーション再販といった事業にも取り組んでいます。いずれの事業においても、「どうすれば資産としての価値を最大化できるか」という視点を軸に、事業領域を広げてきました。私が一番大事にしていることは、「お客さまから対価をいただいたので仕事をする」のではなく、「お客さまが潤ってくれた結果として、私たちも対価をいただける」という順番です。ここが逆転すると、商売は短期的になってしまいます。だから、最初に考えるのは「どうすればお客さまが潤うのか」です。 潤いは、金銭的なリターンだけではありません。不動産投資による安定したキャッシュフローと同じ重さで、「将来への不安が和らぐ」「本業に集中できる」という安心感も、お客さまにとっての価値だと考えています。 ホテルや旅館の運営であれば、そこで過ごす時間そのものが価値になります。静かに呼吸が整うようなリラックスの時間、日常から一歩離れて心が軽くなる体験。そういう潤いも、私は立派な価値だと思っています。そうした潤いをお客さまに届けられた結果として、私たちは「ありがとう」をいただき、その対価として報酬をいただく。ビジネスの順序としては、これが自然だと考えています。この考え方を、社内では「潤環シナジー戦略」と呼んでいます。お客さまに価値を届ける。すると、その価値は私たちに返ってくる。さらに、その潤いを取引先の方々にもまわす。すると、品質や納期、仕事の姿勢として、また私たちに返ってくる。 社内に潤いが巡れば、従業員はより良い仕事ができる。その結果、またお客さまに価値が返る。潤いを環(まわ)し続けることで、価値の総量そのものを増やしていく発想です。不動産や建築の業界では、目の前の一件で利益を最大化しようとするやり方も少なくありません。短期では成立しても、それでは関係性が続きにくい。私はそこに違和感がありました。だからこそ、「関係者全員にとっての適正な利益配分」を大切にしています。潤いが一部に偏ると、環(わ)は大きくならない。適正な利益を取りながら、適正に還元され、次の価値を生むことが重要だと思っています。そうした積み重ねの先に、信頼が自然に広がり、「大和財託経済圏」と呼べる関係性が育ってきました。お客さまファーストを貫き、フェアで対等な関係を前提に、価値を潤環させていく。その結果として輪が広がっていく。これこそ、私たちが取り組んでいる「資産価値共創業」の本質です。商売の原点は「お客さま」だった。家業で育まれたお客さま起点の思想〈創業時のオフィスのお写真〉藤原代表の経営思想の原点は、家業を手伝いながら過ごした幼少期の日常にある。特別に教え込まれたわけではなく、「商売とは何か」「誰のために仕事をするのか」という感覚が、日々の生活の中で自然と体に染み込んでいった。その原体験こそが、後に藤原代表が大切にする“お客さま起点”の思想となり、さらに「資産価値共創業」という考え方の土台を形づくっている。藤原代表:私の価値観の原点をたどると、やはり幼少期の環境に行き着くと思います。 岩手県紫波郡矢巾町という、当時は二万人規模の町で生まれ育ちました。父は内装工事業を営んでいて、いわゆる商売人の家です。四人兄弟の次男でしたが、家業は常に身近にありました。幼稚園や小学校の頃から、「手伝いだ」と言われて、よく現場に連れて行かれていました。やることは雑用ばかりで、正直なところ、大変だなと思うことも多かったです。ただ、父が仕事をしている姿や、お客さまと向き合っている様子をすぐそばで見て過ごした時間は、いま振り返ると、自分の価値観をつくるうえでとても大きな影響があったと思います。仕事が終わったあとに「ありがとう」と言われて、対価をいただく。その一連の流れが、特別な出来事ではなく、日常の延長線上にありました。商売とは何か、仕事とは誰のためにあるのか。そうした感覚が、教えられたというよりも、生活の中で自然と身についていったように思います。そうした経験を重ねる中で、私の中には自然と、「商売はまずお客さまが潤わなければ成り立たない」という感覚が根づいていった気がします。父の仕事は、決して派手なものではありませんでした。内装工事という、いわば裏方の仕事です。手を抜けばすぐにクレームになるし、丁寧にやれば次の仕事につながる。そうした現実を子どもながらに見ていたからこそ、「商売はごまかしが効かない」「お客さまに喜んでもらえなければ続かない」という前提が、当たり前のものとして自分の中に残りました。この原体験があるため、現在の経営においても、お客さま起点という考え方が揺らぐことはありません。取引先も従業員も大切ですが、そのスタート地点は常にお客さまにある。まずお客さまが潤う。その潤いが巡り巡って、会社や取引先、従業員に返ってくる。その潤環の起点を間違えないことが、商売を続けるうえで一番大事だと、今でも思っています。起業へと導かれた20代。決断までの道のり〈創業日2013年7月1日のお写真〉藤原代表の起業は、勢いや偶然によるものではない。大学時代に芽生えた漠然とした関心、社会人として組織の内側に身を置く中で蓄積されていった違和感、不動産投資の実務とその実態を当事者として体験したこと。そうした一つひとつの経験が、時間をかけて重なり合い、やがて「自分自身で事業をつくる」という選択へと収束していった。藤原代表:大学時代の私は、「いつかは経営者になれたらいいな」という、本当にぼんやりした感覚でした。明確に起業したいと決めていたわけではありません。ただ、ヒトカネモノを動かしながら、何かをつくっていくことへの憧れはずっとありました。今振り返ると、家業が身近にあったことの影響は大きかったと思います。新卒で選んだのは、中小企業のメーカーでした。大企業に進む選択肢もありましたが、あえてそうはしませんでした。大企業では、どうしても出世や裁量が年次や運に左右されやすい。一方で中小企業であれば、成果次第で経営に近いところまで関われるのではないかと考えたからです。実際、仕事自体はそれなりに評価してもらっていました。ただ、二十代後半になると、上司や役員の姿がより現実的に見えるようになります。そのとき、自分がこの先、この組織の中でどんなキャリアを歩んでいくのかを具体的に想像してみました。正直なところ、そこに強い希望は持てませんでした。組織の構造や意思決定のプロセスを見て、「ここではないな」という感覚が、徐々にはっきりしていったんです。中小企業で部品営業に携わる中で、より目に見える大きな仕事に関わりたいと考え、大企業へ転職しました。転職後、年収が上がったことをきっかけに、以前から関心のあった不動産投資を自身で始めました。その経験を通じて、不動産の意思決定や価値創出の面白さを実感する一方で、大企業という組織では、個人が経営判断に深く関わることの難しさも見えてきました。中小企業でも違う。大企業でも違う。そう考えたとき、「自分がやりたいのは、このどちらでもない」という思いが、だんだんと明確になっていきました。そうして選択肢を整理していく中で、行き着いた先が「自分で事業をつくる」という道でした。さらに、起業を決断するうえで大きな影響を与えたのが、転職後に実際に行った不動産投資の経験です。実際にアパートやマンションを購入し、運用してみると、不動産投資そのものは非常に合理的で、うまくいけば人生の安定につながると実感しました。一方で、仕事が忙しい中で物件を選び、自ら管理を続けるのは、想像以上に大変でした。一応、不動産業界に身を置き勉強している自分ですらそう感じる。 ならば、一般のビジネスパーソンにとっては、なおさら難しいはずです。そのときに、「本業に集中しながら、安心して資産形成ができる仕組みをつくれたら、これは大きな価値になる」と思いました。収益不動産の業界全体を見渡すと、顧客視点が十分とは言えず、未成熟な部分が多いと感じました。 だからこそ、顧客起点で、真っ当にやれば必ず価値を出せる。この領域には、自分がやる意味がある。そう確信したんです。振り返ってみると、起業は思いつきではありません。大学時代の漠然とした関心、社会人として積み重ねた違和感、転職を通じて見えた現実。それらが一本の線でつながった結果として、「この事業を、自分がやるしかない」という結論に至ったのだと思います。前編では事業を行う上で大切にしている信念や、起業を決断するまでのエピソードについてお話を伺いました。後編では創業期のエピソードや、組織拡大期の経営論、今後の展望についてさらにお話を伺います。藤原正明/昭和55年生まれ。岩手県出身。岩手大学工学部卒業 。三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発業務に携わり、その後関東圏の不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。平成25年に大和財託株式会社を設立。不動産・建築領域等を活用した資産価値共創事業を東京・大阪をはじめとする全国主要都市圏で展開。【会社概要】会社名大和財託株式会社設立2013年 7月代表者藤原 正明事業内容不動産・建築領域等を活用した資産価値共創事業資産形成に関するプランニング及びコンサルティング不動産・金融に関する市場調査及び情報提供不動産の管理・賃貸及び売買プロパティマネジメント業務及びアセットマネジメント業務宅地造成等不動産事業用地の開発建築物の設計及び工事監理建築工事業・塗装工事業・電気工事業・管工事業その他建築業建物のリフォーム・リノベーションホテル等商業施設及び介護・障がい者福祉施設の企画・運営・管理所在地東京本社 東京都渋谷区渋谷二丁目17番1号 渋谷アクシュ22階サイトURLhttps://yamatozaitaku.com/